新・ことば事情
5228「『めくれ上がる』と『まくれ上がる』」
9月2日に、埼玉県越谷市と千葉県野田市近辺で起きた「竜巻」。その様子を伝えた翌日の「ミヤネ屋」の中継の中で、
「屋根がめくれ上がる」
という表現がありました。それを聞いて思ったのは、
「『めくれ上がる』と『まくれ上がる』はどう違うのか?」
ということ。これは、
「『めくる』と『まくる』の違い」
を考えることになります。
わたしの「語感」から言うと、
「めくる」=程度・規模が小さい
「まくる」=程度・規模が大きい
感じがします。
『精選版日本国語大辞典』で「めくる」を引くと、なんと、
「まくる(捲)」の変化した語」
とあるではないですか!ということは、もともと同じ意味か!?ただ、「めくる」の用例は、
「名語記」(1275年)
と古い。一方「まくる」を引くと、
「享和本新撰字鏡」(898-901年頃)
と、やはりこちらのほうがさらに古い。のですが、用例は「杜詩続翆抄」(1439年)や「木工権頭為忠百首」(1136年頃)。どちらも古いですねえ。ほぼ同じ意味で、使い分けについては書かれていませんでした。