新・ことば事情
5225「移流」
9月2日、埼玉県越谷市・千葉県野田市近辺で竜巻が発生しました。被害に遭われた皆さまには、お見舞い申し上げます。
翌9月3日の「ミヤネ屋」で詳しく状況などをご紹介しました。
その中で、竜巻発生の原因を説明した中で、
「暖気の移流」
という言葉が出て来ました。その、
「移流」
という言葉にひっかかりました。おそらく「専門用語」なのでしょうが、テレビで紹介するには、のどにひっ掛かるような、微妙にわかりにくい言葉です。
「もっと分かりやすい言葉を使って」
と指示したところ、本番では、
「暖気の流れ込み」
という表現で放送されました。
グーグル検索(9月3日)では、
「移流」=12万7000件
でした。『精選版日本国語大辞典』を引くと、
「移流=広範囲の空気の層がほぼ水平に移動すること。地表近くの低い所でも、また上層部でも生じる。」
とありました。『デジタル大辞泉』では、
「移流=大気・海水中の水蒸気・塩分などの物質や圧力・温度・エネルギーなどの物理量が、その流れによって運ばれること。普通は、水平方向の移動をさす」
と詳しくありました。『広辞苑』にも載っていました。
「移流=(理)adovection」流体中に分散した物質やエネルギーが流れによって運ばれること。多くは水平方向の移動に用いる。」
と書かれていました。『明鏡国語辞典』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』には、立項されていませんでした。