新・読書日記
2013_161
2013読書日記161『神の雫39』(作・亜樹直、画・オキモトシュウ、講談社:2013、9、20第1刷り)
ご存知、ワインの漫画です。第十一の使徒・スペイン編が、あっけなく終了。なんと第十二番目の使徒は「日本のワイン」!確かに、最近日本のワインの実力は上がって来ているらしい。つい先日、東京駅の中にある、山形・米沢牛を食わせる店で出された米沢ワインの赤は、お肉にも合い美味しかった。そういえば、兵庫・丹波ワインもおいしい。コストパフォーマンスはそれほど高くはないのかもしれないが、おいしいのは間違いない。そのあたり、今後、注目ですね!
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(2013、9、27読了)
2013年9月30日 18:07
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新・読書日記
2013_160
『そして、人生はつづく』(川本三郎、平凡社:2013、1、11)
著者は数年前、妻に先立たれた。まだ60代だが、その筆には「老い」を感じる。
妻を亡くしても、なお「人生」は続く。表紙の絵の「駅」は、「人生」を「鉄道の旅」に例えているような感じだ。
これは、連載エッセイをまとめたものだが、その途中で「3.11」を迎えた。「3.11」前後で、どう著者の気持ちは変わったのかを読み取れる。
なんか、小林信彦のエッセイと似ているような気もするが、ちょっと違う感じもする。年齢はおそらく小林の方が10歳ぐらい上だと思うが。
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(2013、9、7読了)
2013年9月30日 12:30
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新・読書日記
2013_158
『地名に隠された「南海地震」』(谷川彰英、講談社+α新書:2013、3、19第1刷・2013、6、6第2刷)
今年の夏休み中に読み終えた一冊。「地名」に、津波などの「自然災害の記録」が残されていると主張する著者。「地名は先人からのメッセージである」と。たとえば「浦・津・川・浜」が付く地名は「水害」に遭ったことがある場所だと。たしかに、そうかもしれないなあ。そして、そういった災害に実際に遭遇した場合に「どこへ逃げるのか?」も地名には示されているのだと。まず「街道」。昔から、そういった水害にさらされない場所が街道になっているという。「東海道」では、名古屋近辺では「街道」足りうる土地(宿場町となりうる安全な場所・高台)がなかったので、桑名までは「海路」が「五十三次のルート」になっていたのだという。また、各地にある「神社」も、安全な場所に設置されているという。そして各地の「津波碑」にも注目すべきだと指摘。さらに、地名と地形から見る原発の危険度にもページを割いている。「山辺」は動かないのに「海辺」は常に動いてきた。個々に注目すると「津波対策」が見えて来ると主張している。
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(2013、8、15読了)
2013年9月24日 12:11
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新・読書日記
2013_159
『この地名が危ない~大地震・大津波があなたの町を襲う』(楠原佑介、幻冬舎:2011、12、20第1刷・2012、1、15第2刷)
これも今年の夏休み中に読んだ本。著者は、出版種勤務の後に、編集・評論、著述活動に入ったいわば「市井の学者さん」と言える方のようである。
『地名に隠された「南海地震」』(谷川彰英、講談社+α新書)と同じく、「地名には災害の歴史が記されている」という主張。目次を見ると、「原発は津波城主内に建設された」「地名が教えていた東日本大津波」「地名は災害の記録である」「災害にはキーワード地名がある」「災害危険地帯の地名を検証する」という具合で、何が書かれているかは、大体おわかりでしょう。具体的にどこがどうなのか、というのは、本書をお読みください。
☆4つ
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(2013、8、11読了)
2013年9月24日 12:05
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新・読書日記
2013_157
『代官山コールドケース』(佐々木譲、文藝春秋:2013、8、30)
佐々木譲の最新刊。「コールドケース」というのは「冷たい容器」ではなく、「凍結された事件」つまり、迷宮入りとか未解決事件のことを指すようである。17年前に起きた殺人事件、容疑者と目される男が"自殺"とみられる死に方をして、"被疑者死亡"のまま「一件落着」と見られていた。しかし、17年後に起きた殺人事件の現場で、17年前の殺人事件現場と同じDNAが検出された。ということは、あの事件の犯人は死んでいなかった?連続殺人事件か?神奈川県警とメンツをかけて先に解決しなくてはならない警視庁。しかし、表立った動きはダメ、捜査体制も最小限の2人組プラスアルファ・・・究極に追い詰められた中での密度の濃い捜査が、500ページ近い物語を、一気に読ませた。
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(2013、9、9読了)
2013年9月20日 12:25
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新・読書日記
2013_156
『永続敗戦論~戦後日本の核心』(白井聡、太田出版:2013、3、27初版・2013、8、17第4刷)
一部で(?)話題の本。ことしの3月27日に出て、8月17日で4刷。じわじわ、売れている感じかな。あまり部数を刷っていないのか、話題になっている割には、小さめの本屋さんの店頭では、なかなかお目にかからなかった。
1977年生まれの著者は、早稲田の政治学科卒。お、後輩だ。最後のほうに、わたしのゼミの先生である故・河原宏先生の名前も出て来たので、「おや?ゼミの後輩かな?」と思ったら、どうやらそれは違ったようだ。でも白井・前総長の息子さんらしい。
後輩に借りて読んだ竹田恒㤗さんの本『日本人の原点がわかる「国体」の授業』(PHP:2013、8、7)には、日本の「国体」は「天皇」と書かれていたが、この本で著者は、
「天皇にとって安保体制こそが戦後の『国体』として位置づけられはずなのである。そしてこのとき、永続敗戦は『戦後の国体』そのものとなった」
と記している。
「永続敗戦」とは何か?うーん、わかりやすい言葉で端的に言うと、
「アメリカの属国化」
かなあ・・・。「終戦」だと、「戦争は終わり」で「けじめ」が付くが、未だに「敗戦」を背負い続けている。一見「独立」しているように見えて、「真の独立」はなしえていない、ということか。
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(2013、9、4読了)
2013年9月19日 19:13
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新・読書日記
2013_155
『日本サッカーに捧げた両足~真実のJリーグ創世記』(木之本興三、ヨシモトブックス:2013、7、13)
サブタイトルは「真実のJリーグ創世記」となっていて、確かにそうなんだけれども、私がサブタイトルを付けるとしたら、「愛すべきサッカーバカ一代記」という感じです。
木之本さんの名前は、昔サッカーの取材をしていたころにはよく目にしたように思うし、たぶん、スタジアムですれ違ったりしていたのではないかと思う。こちらもサッカー取材をしなくなったので、目にしなくなったのだと思っていた。ところが・・・Jリーグ専務理事にまでなった男が、こんな人生を歩んでいたなんて、知らなかった。
帯の言葉は、「Jリーグ創設、日本代表W杯出場の立役者が初めて明かす『真実』」。
1949年1月生まれ、いわゆる「団塊の世代」になりますね。東京教育大学から古河電工に進み、あの「赤き血のイレブン」のモデル永井良和の先輩で、上司は川淵三郎。日本サッカー界の「中心」を歩んでいたはずだった。ところが・・・26歳の時(1975年6月)突如告げられた病名は「グッドパスチャー症候群」という、聞いたこともない病気。これで、腎臓を2つとも摘出する手術を受けて、人工透析を必要とする体に。実は、Jリーグ創設に向けて一番活躍するのは、そんな大変な状況の中でだった。
そして2002年6月、日韓ワールドカップの決勝トーナメントに進出した宮城でのトルコ戦、敗戦後、右足が"爆発"する。激しい痛み。「バージャー病」という、これも聞いたこともない病だった。「振り返ると両足で大地をしっかりと踏みしめ、元気に歩き回れたのは、日本中が異様な熱気に包まれた2002年日韓ワールドカップの日々が最後だった。これも何かの運命だったのだろう。」
2007年7月に右足の切断手術を受け、その後左足も失う・・・。
タイトルの示す衝撃的な意味が、ここでわかる。
元気に歩き回ることはできなくなっても、木之元さんはサッカーに携わる仕事を、今も続けている。真に「サッカーバカ・一代記」であると思う。
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(2013、7、27読了)
2013年9月19日 12:11
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新・読書日記
2013_154
『面白いけど笑えない中国の話』(竹田恒泰、ビジネス社:2013、7、19第1刷・2013、8、1第2刷)
サブタイトルは「『竹田恒泰チャンネル』を本にしてみた!」ということで、ニコニコ動画でやっている人気番組を本にしたと。ニコ動の「ことばのことばかり」のライバルだ!(笑)。去年の11月から番組は始まって、毎週2万人以上が見ているそうです。すごいですね。
もちろん、この本も、後輩から借りて読んでいるものです(笑)。
最初に読んだ講演録の本は、買ってまで読もうとは思わないものだったけど、こちらは、「ちょっと、買ってもいいかな」と思わせるところもありました。新聞記事を元にそれにコメントを加えていくという形式で、分量も多いですし。ただ、相変わらず品がない。下品な物言いには辟易としました。「終章」と「あとがき」は、大袈裟な"パッフォーマンス"がほとんどなく、「等身大」の著者の言葉が書かれているようで、落ち着いて読めました。すでに200回以上中国を訪れているという著者、それはすごいなあ。
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(2013、9、17読了)
2013年9月18日 22:11
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新・読書日記
2013_153
『日本人の原点がわかる「国体」の授業』(竹田恒㤗、PHP:2013、8、7)
本当は、この人の本を読む気はなかった。テレビで見聞きする限り、あまり好きではないから。でも、読まずにそんなことを言うのもなんなので読もうかなと。でも買うのはちょっと・・・と思っていたら、後輩が「いやあ、良かったです、この本、勉強になりました」と言うので、「じゃあ、貸して」と、借りて読んだ。
著者は1975年生まれ。旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫(やしゃご)にあたるそうだ。慶應義塾大学の法学部法律学科卒業。
これは松下政経塾で去年11月に講義した時の講義録が本になったもの。その分、文章も話し言葉っぽくて読みやすい、軽い本。松下政経塾→PHPか。松下政経塾の塾生は、こんな講義を、ふんふんと聞いていたのかなあ・・・。
なんて言うのかなあ・・・基本的に話している内容が、橋下大阪市長的な感じがする。「はったり」をかますのが好き。万が一間違ったことを言っても「あ、それは勘違いでした」で済まそうとする「軽さ」を感じる。実際、かなり矛盾した内容が出て来ている。たとえば「日本は歴史上一度も『君(天皇)』と『民』が対立関係に入ったことはありません」(114ページ)とあるが、じゃあ「西南の役」は?「鳥羽伏見の戦い」は?「白虎隊」は?「五稜郭の戦い」は?「幕府」は「天皇」にさからったのではないのか?また、「南朝」と「北朝」はどのように位置づけるの?そして「明治維新から現在までの間で、天皇が国策を最終的に決定したのは一度だけです。(中略)ポツダム宣言の受諾を決定なさったときだけです」(117ぺ―ジ)。本当?「終戦」を決定したのであれば「開戦」も決定しているのでは?日清・日露戦争は?・・・と疑問が次から次に出て来る。(松下政経塾の聴講者は、質問をしなかったのか?)というふうに、著者が「事実」と決めつけている内容が、どう考えても普通は「え?それは違うでしょ」ということがいくつかある。「日本史」を選択していなかった私でも、これぐらいの疑問は出て来る。それをあたかも「既定事実」のように話す。これって「政治家的」「啖呵売的」な話し方の特徴であり、「学者の言葉」ではない。落ち着いて読めない。
そのほか印象に残ったのは、「国体」はその国によって違うと。フランスは「平等」、アメリカは「自由」、そして日本は「天皇」が「国体」なのだという話。なるほど、わかりやすい。でも、ちょっとおおざっぱと言うか、乱暴な決めつけのように思う。この本の前に読んだ『永続敗戦論』(白井聡)だと「戦後の国体」は「日米安保体制」であったと書かれている。そして、「3.11」以降、我々が「国体=各人が自らの命をかけても護るべきもの」を真に見出さなくてはならず、「伊藤博文らによる発明品としての『国体』」は「我々の知的および倫理的怠惰を燃料としている」と記していた。それを読むと、ねえ・・・講演の文章なので仕方がないけど、やや深みが足りない。もう少し突っ込んだ話を読みたかったなあという気がした。
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(2013、9、13読了)
2013年9月18日 19:09
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新・読書日記
2013_152
『法廷は言葉の教室や!~傍聴センセイ裁判録』(札埜和男、大修館書店:2013、7、1)
今回で6回目となるニコニコ動画「道浦俊彦のことばのことばかり」で、9月24日(火)19時からの回で、初めてゲストを呼ぶことになった。そのゲストが札埜先生。出演を快諾して頂いた上に、ご高著(新著)をプレゼントしてもらった。ありがとうございます!
札埜先生は高校の先生をやりながら大阪大学の大学院に通われて、社会言語学の博士号を取られた。その博士論文をまとめた本を、私も今年の初めに読ませてもらった。(2013読書日記042『法廷における方言~「臨床ことば学」の立場から』(札埜和男、和泉書院:2012、12、15)
同じように、その発表を聞いて「一般向けに本を書きませんか?」と大修館書店の編集者さんが勧めてくれて生まれたのがこの本。ということで、より具体的に、より一般的にわかりやすく、法廷における「方言」の実態とその戦略的使われ方の実例を紹介した本だと言えるだろう。だから、興味深い。おもしろい。法廷で使われる言語は「日本語」と決められているが、では「方言」は「日本語」なのか?「国語」の概念や、方言とその使い手の生活といったことにまで考えは広がっていく好著だと思いました。札埜センセイ、24日、よろしくお願いしますね!
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(2013、9、13読了)
2013年9月16日 17:42
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新・読書日記
2013_151
『輝ける闇』(開高健、新潮文庫:1982、10、25初版・2005、7、10第27刷)
30年で27刷のロングセラー、さすが開高健。でも何冊か家にある「開高健」の本だが、ちゃんと読み通したものはなかった、今回、夏休みにベトナム(ホーチミン)へ行ったこと、そこで宿まったホテルが、たまたま昔、開高健が泊まったホテルだった。まあ、そういった事もあって、改めて読んでみようかなと言う気になった。2013読書日記141で書いた『開高健名言事典 漂えど沈まず~巨匠が愛した名句・警句・冗句200選』(滝田誠一郎、小学館:2013、6、3第1刷・2013、7、1第2刷)も、そういった流れで読んだ。そこに出て来た「水牛と蚊」の話、この『輝ける闇』に出て来た。この本は、読み始めて読み通すのに、1か月かかってしまいました。
開高の印象的な表現、これはすごい「畳み掛け」だった。
「或る哲学者の悲痛な饒舌に私は従いたい。人びとは資格も知識も徳もない輩によって、きびしく監視され、検査され、スパイされ、指揮され、法律をつくられ、規制され、枠にはめられ、教育され、説教され、吟味され、評価され、判定され、難詰され、断罪された。取引きや売買、物価変動のたびに、書取られ、登録され、調査され、料金をきめられ、捺印され、測定され、税の査定をされ、賦課され、免許され、認可され、許可され、但書をつけられ、説諭され、邪魔され、改善させられ、矯正させられ、訂正された、公共の福祉という口実、全体の利益の名において、利用され、訓練され、強奪され、搾取され、独占され、着服され、税を絞られ、だまされ、盗まれ、そして反抗の兆しでも見せたり、少しでも嘆こうものなら、抑圧され、改心させられ、蔑視され、怒られ、追いつめられ、こづかれ、殴り倒され、武器をとりあげられ、縛られ、投獄され、銃殺され、機関銃で掃射され、裁かれ、罪を宣告され、流刑にされ、生贄とされ、売られ、裏切られ、なおそのうえにもてあそばれ、冷笑され、侮辱され、名誉を汚されたのだった。」
圧倒的なことばの機関銃は、「独裁の暴政と虐殺」に対して向けられたものである。
(コブクロの「永遠にともに」を思い出した。あれは全く逆の「めでたいパターン」ではあったが。)
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(2013、9、14読了)
2013年9月16日 11:40
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新・読書日記
2013_150
『終わりと始まり』(池澤夏樹、朝日新聞出版:2013、7、30)
著者は、現代日本を代表する「知の巨人」の一人ではないかと私は思っている。特に東日本大震災以降、精力的に執筆活動を続けているように感じる。このコラムは、朝日新聞に2009年4月から2013年4月まで、朝日新聞で月1回連載されたものをまとめたもの。つまり「3、11」をはさんだ「前後」の連載であるだけに、書き手の信情の変化なども見て取れる。「月1」という「定点観測」だとも言える。
タイトルは、よく見ないと間違いがちだが、「終わり"の"始まり」ではなく、「終わり"と"始まり」。ポーランドの女性詩人・シンボルスカの詩「終わりと始まり」から取ったそうだ。何の「終わりと始まり」かと言うと、「戦争」なのだそうだ。
「戦争が終わるたびに、
誰かが後片付けをしなければならない
物事がひとりでに
片づいてくれるわけではないのだから」(沼野光義 訳)
おお、これを読んで今、思い出すのはまさに「シリア」ではないか?
イラク戦争(2003年3月)からちょうど10年、「大量破壊兵器などない」ことは、いくらあのブッシュJrでもわかっていたはずなのに、戦争に突入した背後には「軍需産業の介在」が指摘されることがある。ブッシュJrよりは「聡明」とされるオバマが、国内世論の60%という反対を押し切ってまでシリアへの「軍事介入」に踏み切るとしたら、その背景には何があるのか?
「"平和"とは"戦争と戦争の間の短い期間"」
という警句を聞いたことがあるのを思い出して、暗い気持ちになる。7年後に開催が決定した"平和の祭典・東京五輪"に沸くIOC総会の背後に蠢くものは・・・。
ここまで書いて数日、アメリカ・オバマ大統領は、外交的手段での解決を目指す方針を明らかにしました。
(☆4つ)
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(2013、8、25読了)
2013年9月12日 17:38
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新・読書日記
2013_149
『アーサーの言の葉食堂』(アーサー・ビナード、アルク:2013、8、5)
前半のエッセイが、かなり厳しく直接的なものが目立つ。その後から後半の方が、のんびりした感じがするが、これは「3・11」より後と、前に書かれたという違いなのか?
一冊の本に連載エッセイをまとめる時、まとめ方によって本の印象がかなり変わると思った。当たり前だけど。
「外国人」の眼から見た「おかしな日本語」というのもたくさん取り上げられていて、「日本語」について、見開き2ページぐらいでいろいろな見方が出来る本。読みやすい。
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(2013、8、31読了)
2013年9月12日 12:33
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新・読書日記
2013_148
『蘭印戦跡紀行~インドネシアに「日本」を見に行く』(内藤陽介、彩流社:2013、8、17)
おなじみ、切手学者・内藤陽介さんの本。また送っていただきました。ありがとうございます!それにしても今年は「マリ」の本をこないだ出されたばかりでは・・・と思って読んでみたら、「蘭印=オランダ領インドネシア」の戦跡巡りに行かれたのは「去年」のことらしい。それを今年まとめたと。
ご自分でも書いているが、単にインドネシアに行くのではなく「蘭印=戦中のインドネシアの面影を求めて」旅するというのは、まさに「漫遊記」ならぬ「漫"郵"記」である。それにしても、これだけ詳しく当時の歴史を記述しながら、実際にその歴史の跡を現在の現地でたどるという行為は、内藤さんの頭の中で広がっている"時空を超えた世界"が、どれだけ広い世界なんだ!?と驚きを禁じ得ない。
118ページに出て来た「ムラビ山」の絵葉書の写真、「これって、富士山じゃん!」と思った。「火山」が噴火した後の「山の形」というのは、どれもとてもよく似ているのだなあと感じた。
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(2013、8、25読了)
2013年9月11日 15:32
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新・読書日記
2013_147
『被災地から問うこの国のかたち』(玄侑宗久・和合亮一・赤坂憲雄、イースト新書:2013、6,6)
3人の著者(話者)の中で、一番ズシーンと伝わったのは、福島在住の詩人・和合亮一さんの話だった。高校教師であり、詩人である和合さん。本は講演を書き留めたものだが、その言葉を読みながらボールペンで赤線を引いていたら、ほぼ全部、赤線を引いてしまった。出演者からの質問で「高校教師はやめないのか?」という問いに対して「高校教師をすることと、詩人であることは両輪」というように答えていたが、これはわかる気がした。また、福島で被害に遭った地元の人25人にインタビューした本もあるという。まるでジャーナリストだ。その本も読むぞ!と思い、この本を読んだ後に本屋さんに注文したら、とっても分厚い本が届いた。
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(2013、8、15読了)
2013年9月 8日 11:55
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新・読書日記
2013_143
『悪の引用句辞典~マキアベリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき』(鹿島茂、中公新書:2013、7、25)
この著者の本は非常にインテリ度が高くてハードルが高いのと、なんとなく趣味が合わない気がして、これまでちゃんと読んだことがなかったが、この本は、いい。でもこういった名言辞典に「吉本隆明」を入れているのは、吉本が「団塊の世代」へ与えた影響が、いかに大きかったかを物語っているのだろう。でも同じ「団塊の世代」でも、「呉智英」は、吉本隆明をめちゃくちゃこき下ろしていたが。
タイトルは「悪の」とあるが、全然「悪」ではなく、あきらかに「名言辞典」だと思うのだが。
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(2013、9、1読了)
2013年9月 6日 17:37
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新・読書日記
2013_142
『ナショナリズムの誘惑』(木村元彦・園子温・安田浩一、ころから:2013、6、15)
在特会の取材をしている安田、東日本大震災後に映画「希望の国」を撮った園、そして旧ユーゴでのセルビアによる虐殺を取材した木村という、人間のアンダーグラウンドな「黒い一面」について興味を持ち、表現し続ける3人による対談。3人に共通する意識は、
「民族というのはフィクションだ」
ということ。そうだったのか!と目からうろこが落ちる思いだ。私も「民族とはなんだろう」と考えて来たのだが。これは、のちに読む白井聡の『永続敗戦論』(太田出版)にも同じようなニュアンスを感じた。
園子温監督の作品は、あの宮崎駿監督「風立ちぬ」と同じように「ベネチア映画祭」にエントリーされているそうだ。観てみたい。
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(2013、8、27読了)
2013年9月 6日 11:36
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新・読書日記
2013_141
『開高健名言事典 漂えど沈まず~巨匠が愛した名句・警句・冗句200選』(滝田誠一郎、小学館:2013、6、3第1刷・2013、7、1第2刷)
夏休みにベトナムへ行った。ホーチミン。その際に泊まったホテルの「103号室」のドアの横に金属の銘板が貼られていて、そこには「この部屋には開高健が宿泊した」と書かれていた。「おお、そうだったのか!」と、日本へ帰って来てから、家の本棚に眠っていた開高健の本を読み出した。そして、たまたま寄った本屋さんの隅っこで目に留まったのが、6月に出たばかりで7月に増刷されているこの本。決して目立つところに置いてあったわけではないのに、売れているんだ。
これはたしかに「名言集」というか、開高健という「ひと」がわかる珠玉の言葉の数々が、収められている。
「教えるものが 教えられるのが 教育の理想である」
「男は具体に執して 抽象をめざそうとしているが
女は抽象に執しながら 具体に惑溺していこうとする」
「大人と子供のちがいは 持っている玩具の値段のちがいだけである」
「何事であれ 取材費を惜しむと 仕事が痩せる」
「飲むのはつめたく 寝るのは軟らかく 垂れるのはあたたかく 立つのはかたく」
「howはわかるけど whyはわからない」
「春の肉体に 秋の知慧の宿る 理屈があるまい」
「人の一生の本質は 二十五歳までの経験と 思考が決定する」
「右の眼は 冷たくなければならず、左の眼は 熱くなければならないのである。
いつも心に 氷の焔をつけておくことである。」
「神」にまつわる名言も。
「神がサイコロを振ることはない」(アインシュタインの言葉)
「神とともに行け VAYA CON DIOS」(スペイン語の別れの言葉)
「神は細部に宿り給う」
などなど。中でも「開高健の言葉だったのか!」と思ったのは、
「明日世界が終わるとしても 今日私は(あなたは)リンゴの木を植える」
という言葉。もっとも、その後に読んでいる川本三郎の『そして、人生はつづく』(平凡社)(118ページ)によると、この言葉は、
「開高健が引用したことで有名になったルーマニアの作家ゲオルギューの言葉」だそうですが、日本でこの言葉を広めたのは開高健、というのは間違いないようです。ほかにも、
「月並みこそは黄金」(ル-マニアの諺)
というのもあって、開高健はたぶん、ルーマニアの作家たちと、何らかの交流があったのかもしれない。
この調子で行くと、全部抜き書きしてしまいそうだが、全部で200の言葉が収められている。これらはすべて、著者が開高の著作を読んで抜き出した、まことにアナログな作業から生まれた労作。最後の方に「開高が愛した言葉」も、付録のようについている。その2番目に出て来た言葉は「雲古」。昔、フランス文学者の渡辺一夫はペンネームを「雲谷斎(ウンコクサイ)」と名乗ったそうだ。「ウンコクサイ」と言えば、立川談志の戒名も「立川雲黒斎家元勝手居士(たてかわうんこくさいいえもとかってこじ)」だったなあ。漢字がちょっと違うが。
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(2013、8、29読了)
2013年9月 5日 21:35
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新・読書日記
2013_140
『本の雑誌2013年9月号~特集=いま校正・校閲どうなっておるのか!』(本の雑誌社:2013、9、1)
2013読書日記133で紹介した『増補版・誤植読本』を、『本の雑誌』の編集者も読んで「おもしろかった!」と思ったのではないか?本屋さんでこの雑誌を見かけてすぐさま購入。最初のページで『増補版・誤植読本』を紹介していた。その後、校正・校閲担当者の鼎談など。「そうそう、そうなんだよ」と、うなずきながら読めた。特集のタイトルが「~どうなっているのか」ではなく、「~どうなっておるのか」というのは誤植か?なんか、エラそうではないか。「大上段」に振りかぶって、この問題を取り上げるのだ!という意気込みが感じられる。この雑誌、何部ぐらい刷っているのかなあ。
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(2013、8、27読了)
2013年9月 5日 16:34
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新・読書日記
2013_139
『司会・幹事段取りの仕方~話し方・マナー・演出のコツがわかる~』(ゴトウライタ、高橋書店:2010、6、15)
アナウンサー生活30年目、いまさら何でこんな本を買わなくてはならないのか?
そうですね、最近は結婚式の司会の仕方も変わってきているし・・・というわけではなく、「忌み言葉」について調べていたので、参考のために購入。見開きで「忌み言葉と、その言い換え」の一覧が載っていたので買ったのです。これは勉強になりました。最近の結婚式などでは、以前ほど「忌み言葉」を気にしないとは思いますが、一応、知識としては、ね。知っておいた方がいいです。しかしこの本、なかなかよくまとまっています。結婚式の司会をしようという方、ぜひ読んでみてください。書かれていることは、私たち「プロ」から見れば「当たり前」のことですが、「じゃあ、こんなにわかりやすくまとめて書けるか?」というと、なかなかこれは無理。よくまとまっています。
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(2013、16読了)
2013年9月 3日 11:47
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新・読書日記
2013_138
『日本人の知らない日本語(4)海外編』(蛇蔵&海野凪子、メディアファクトリー:2013、8、2)
人気漫画エッセイの第4弾。
今回は著者二人が海外に出て行って、それぞれの国で行われている「日本語教育」の現場を体験するという、なかなか豪華なもの。(取材費用などはどうなっているのだろうか?これまでのシリーズが売れたから、自腹?)
「日本語」って、結構、世界中で人気があるんだなあ・・・と、普段は気付かないことに気付きます。「外から眺める日本語」ってどういうものなのか、という"新鮮な視点"で読むことが出来ました。
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(2013、8、16読了)
2013年9月 2日 19:39
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