新・ことば事情
5222「ばっかじゃなかろうか」
8月28日放送の「笑ってコラえて」の3時間生放送スペシャルで、南米で有名な日本人として紹介されていた、アルゼンチン在住の高木一臣さん(88歳)は、1925年三重県尾鷲市生まれ。「ラプラタ報知」という新聞の新聞記者を務めて40年以上で、88歳の現在も現役で「社説」を書いているそうです。その中で紹介された社説のタイトルが、選挙後の大統領の態度に対して述べたもので、
「ばつかじゃなかろうか」
というもの。この言葉、うちの母(1935年生まれ=78歳)が、昔、よく口にしていたのを思い出しました。実は流行語だったんですよね。
『明治・大正・昭和の新語・流行語辞典』(米川明彦編著、三省堂)によると、この「ばっかじゃかなろうか」は、
「1953年(昭和28年)の流行語」
で、「トニー谷」が使った流行語の一つ。トニー谷はほかにも、
「・・・ざあんす」「ざんしょ」「胸が、ドキリンコ」「うれしくって、ホンワカホンワカ」「おこんばんは」「ネチョリンコン」「さいざんす」「家庭の事情」
といった言葉を流行らせたのだそうです。
これらの言葉は明らかに、その後の赤塚不二夫の漫画「おそ松くん」に出て来た、
「『イヤミ』のモデルが『トニー谷』である」
ことを示していますね。
それと、トニー谷がこういった流行語を連発した1953年(昭和28年)というのは、今からちょうど60年前、そしてその年は、
「テレビ放送が始まった年」
でもあるんですね。そう考えると感慨深いものが・・・。さらにその言葉が、地球の(日本の)裏側のアルゼンチンでまだ生きていたんだなあ・・・と思うと、これも感慨深いザンス。