新・読書日記 2013_120
『私の個人主義』(夏目漱石、講談社学術文庫:1978、8、10第1刷・2010、12、6第67刷)
1978年に文庫で出てそれから32年、67刷ってものすごいロングセラーではないですか!
6月4日のサッカーワールドカップ・ブラジル大会アジア最終予選で、オーストラリアと引き分けて、5大会連続5度目のワールドカップ出場を決めた翌日の記者会見で、本田圭佑選手が、
「チームワークは、もともとあるもの。これから求められるのは"個"の力だ」
という厳しい発言をしたが、その「個」という言葉に反応して、我が家の本棚にあって、まだ読んでいなかったこの本に目が留まったというわけ。
明治44年と言うと1911年ですが、その年に漱石は、関西講演旅行に来ていたんですね。兵庫県明石市、大阪市、大阪府堺市。
その語り口は、「文豪」ではなく、「時代の流行作家」というような感じがしますし、語り口は予想に反して非常に現代的、古くありません。今、聞いても(読んでも)、「なるほど、そうか」とうなずいてしまいそうです。
講演のタイトルは、「道楽と職業」「現代日本の開化」「中味と形式」「文芸と道徳」そして「私の個人主義」。内容とともに、どういう「まくら(前説)」から本題に入っていくのか、そういった点も参考になりました。いやあ、こんな貴重な講演録が、今も簡単に手に入るとは!ぜひ、皆さん読んでください。漱石が身近に感じられますよ!
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