新・ことば事情
5180「申し訳ないけど」
最近、時々耳にする言葉に、
「申し訳ないけど」「悪いけど」
があります。何かを話す時の冒頭に、まずこの言葉を付けて、その後に持論を展開します。
「エクスキューズの枕詞」
のようです。この言葉を使う人は、実は、
「全く申し訳ないとも、悪いとも思っていない」
と思います。「何かを依頼するとき」に、
「申し訳ないけど、行って来てくれないか」
とか、
「悪いけど、あそこのホチキス取ってくれない?」
というように使う場合は、「申し訳ない」「悪い」という気持ちが表れているような気がしますが、「持論を通そうとする際」にこう言う人は、単なるエクスキューズであって、まったく申し訳ないなどと思っていない、単なる「上から目線の物言い」のように感じられます。ただ、そういったエクスキューズがないと、「上から目線だ」と批判されるので、それを避けようとしているだけでしょう、申し訳ないけど。
「申し訳ないけど」と冒頭で言うことで、「反論を防ごう」と予防線を張っているのではないでしょうか。ある意味「言論封殺の言い方」のように思えます、悪いけど。
一方的な決めつけの言い方だけに、これは「目上に対して」は、絶対に使わないでしょう。相手が「目下・格下」の場合に、"相手に配慮しているポーズ"を取っている言い方のように感じます、申し訳ないけど。