Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

5180「申し訳ないけど」

 

最近、時々耳にする言葉に、

「申し訳ないけど」「悪いけど」

があります。何かを話す時の冒頭に、まずこの言葉を付けて、その後に持論を展開します。

「エクスキューズの枕詞」

のようです。この言葉を使う人は、実は、

「全く申し訳ないとも、悪いとも思っていない」

と思います。「何かを依頼するとき」に、

「申し訳ないけど、行って来てくれないか」

とか、

「悪いけど、あそこのホチキス取ってくれない?」

というように使う場合は、「申し訳ない」「悪い」という気持ちが表れているような気がしますが、「持論を通そうとする際」にこう言う人は、単なるエクスキューズであって、まったく申し訳ないなどと思っていない、単なる「上から目線の物言い」のように感じられます。ただ、そういったエクスキューズがないと、「上から目線だ」と批判されるので、それを避けようとしているだけでしょう、申し訳ないけど。

「申し訳ないけど」と冒頭で言うことで、「反論を防ごう」と予防線を張っているのではないでしょうか。ある意味「言論封殺の言い方」のように思えます、悪いけど。

一方的な決めつけの言い方だけに、これは「目上に対して」は、絶対に使わないでしょう。相手が「目下・格下」の場合に、"相手に配慮しているポーズ"を取っている言い方のように感じます、申し訳ないけど。

(2013、7、16)

2013年7月16日 17:06 | コメント (0)