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『道浦TIME』

新・ことば事情

5152「こときれる」

 

先日、東京芸術劇場(池袋)で、合唱曲「水のいのち」を、小林研一郎先生の指揮で歌いました。

この曲を「自らのもの」にして「自分の哲学を歌う」ということのために、改めて歌詞の言葉について考えていたら湧いてきた疑問。

「こときれた梢(こずえ)

という言葉の、

「『こときれた』の『こと』とは、一体なんだろうか?」

ということ。そしてまた同時に、

「この『こと』は、『気音(きおと)』からの『音韻転化』で『こと』となったのではないか?」

ということです。合唱団同期のK君に、

「『こときれた』の『こと』は、どういう意味だと思う?俺は『気音』が『こと』になったんじゃないか?と思ったんだけど」

と言うと、彼は、

「俺は『言葉』の『こと』かと思っていたよ」

とのこと。そうか、「ことば」の「こと」も、「気音」から来ているのかもしれないぞ!

「『ことば』『ことのは』は、『気音の葉』では?」

辞書で「こと」「こときれた」を引いても、そういった意味のことは書かれていませんでしたが、「音」を引くと、上省略の「と」には、「風の音」の意味で、

「かぜのと」

という用例がありました。

ついでに考えは広がって行って(脇浜アナウンサーによると、これは「エンハースト」っていうのかな)、「こと」の「こ」は「声」の略かも。「声」も「気の響き」、「え」は「響き」かも!「震え」の「え」と「声」の「え」は語源的には同じでは?「息」は「生きる」。「生きている気」が「息」では?・・・などと"妄想"が広がりました。

武庫川女子大学言語文化研究所所長の佐竹秀雄先生「こときれる」について伺ったところ、

「『こときれる』の語源としては『事』が『切れる』ということのようです。したがって、『こと』の語源が何かということになります。これは確定したものかないようです。『気音(きおと)』説の弱点は、『気』が漢語なので、古くからあると考えられる『こと』の語源には認められにくい点です。そこで、たとえば『息音(いきおと)』の『い』が脱落した『きおと』からというのなら、可能性はあるかもしれません。『こと』の語源説の一つに『小音(こおと)』の約というのがありますから。また、最初の『い』が脱落するのは、『いばら→ばら』『いだく→だく』などの例があります。」

というお返事を頂きました。ありがとうございます。

そうか、「気音」ではなく、

「息音」

から来ている可能性はあるのか!

最近、「『息』って大事だよなあ」となんとなく感じています。当たり前なのだけれど、

「息をしなくなると、死ぬ。『息』は『生きている』証拠」

だなあと感じています。

(2013、6、27)

2013年6月29日 12:15 | コメント (0)