新・読書日記 2013_110
『ヘタウマ文化論』(山藤章二、岩浪新書:2013、2、20)
洒脱なイラスト・漫画で著名な著者は、昭和12年(1937年)生まれで、今年76歳。
プロとして「うまさ」を求めてきたであろう中で、時代が「ヘタさ」を求めだした。天才落語家・立川談志は、その「うまさ」を極める中で、「ヘタ」な者が人気を博する様子を見て「俺はなれねえ」と。そして別の系統であると認めることになる。
(ここからは私の考えですが)「面白くなければテレビじゃない」というキャッチフレーズから30年以上、プロの世界に素人が顔を出し、「うまさ」だけでは満足できない人たちが"素人の新鮮さ"に価値を見いだした。一時の「おバカ」ブームなどは、まさにその究極の形だったのかも知れないが。(以上、私の考えでした)
そういった「想い」の断章が本書。取り留めないと言えば、取り留めない書き物。
最後に著者が「うまさ」と「ヘタさ」という"相反するもの"を同時に持ち得ているという"天才"として「東海林さだお」を挙げているが、それは同感である。「ミヤネ屋」ファミリーの「松尾貴史さん」の名前が出て来るのも、親近感がある。松尾さんは「山藤ファミリー」でもあるんだなあと。
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