新・ことば事情
5133「体罰」
大阪市立桜宮高校2年のバスケットボール部主将の男子生徒が、部の顧問の男性教諭(47)から体罰を受けた翌日に自殺したことを受け、
「体罰」
に関する関心が、また高まっています。2013年1月10日の産経新聞「産経抄」では、
「指導と体罰の違いはどこにあるのだろう」
という疑問を投げかけています。でも、
「この中で体罰をされた奴はいるか?いたら一歩前に出ろ!・・・いないな。」
こういった問いかけでは、絶対に本当のことは出てきません。
「『一歩前に出る人がいないこと』が、つまり『体罰があること』の証明」
とさえ言えます。
さらに2月9日の読売新聞には、「柔道の女子選手15人が、日本女子前監督らによる暴力行為を告発した問題」に関して、日本オリンピック委員会(JOC)は「五輪加盟団体に聞き取り調査」をした結果、31競技団体すべてが、「日本代表クラスの選手、指導者等の間での暴力行為やパワーハラスメントなどはない」と回答したという記事が載っていました。その記事には、「聞き取り調査を受けた競技団体のおもなコメント」の一覧表も載っていました。それを見ると、質問は、
「暴力、パワハラなどはあったのか」「どんな対策を考えているのか」
でした。そして、表に載っている31団体のほとんどは、
「一切ない」「倫理委員会を設置している」(陸上競技連盟)
「全くない」「文書で注意もした」(ハンドボール協会)
というような答えでしたが、いくつか気になることろも。たとえば、
「ボート協会」と「自転車競技連盟」は、
「ノーコメント」
です。これで「暴力行為はない」と答えたと言えるんでしょうか?
「ホッケー協会」=「問題点はない」
「ウエイトリフティング協会」「トライアスロン教会」=「ない」
という「ひとこと言い切り型」も「本当に調べたの?」と感じます。また、
「アーチェリー連盟」=「特になし」
も、答え方がちょっとあやしい。「特に」って、何?
「馬術連盟」の「ない。起こりえない」
と断言するのも、「想定していない」ということでしょうから「万が一」が怖いのでは?と危惧してしまいす。
もう、この記事が出てから4か月経つのですが、肝心の柔道連盟が上村会長の続投を決めてしまいました。うーん、うやむやになってしまわないか、大変気になります。