新・ことば事情
5121「はしごだか」
「たかい」
を漢字で書くと、
「高(い)」
ですが、これが「人名漢字」となると、もう一種類の「高」が加わります。
「なべぶた」の下が「口」ではなくて、下とつながっている、いわゆる、
「はしごだか」
と呼ばれる字体の、
「髙」
という字です。これは本来、「手書き」で使われていた、ちょっと略した字体の「俗字」だったのですが、印刷字体にまで「『高』とは違う」と主張される方が結構いらっしゃいますし、
「そうか、違う字なんだ」
と思われる方もいらっしゃいますが、「同じ字」です。
百貨店の、
「髙島屋」
の「髙」も、この「はしごだか」で、そのロゴ(マーク)も「はしごだか」ですが、ポイントはそこなんです。つまり、
「文字とロゴ(デザイン)は違う」
という当たり前のことです。それがなかなか理解されないのは、歯がゆいです。
「高」か「髙」か、そこに「プライド」がかかって来るので、「人名」(「名字」だけど)の漢字は難しいですが、有名人で言うと、
「高」=高田郁(かおる=作家)、高島忠夫(父・俳優)、高嶋政伸(弟・俳優)
「髙」=髙橋大輔(フィギュアスケーター)、髙嶋政宏(兄・俳優)
ということです。「たかしま」さんちは、一家で同じ名字でありながら、みんな名字の字体が違うというのは、ややこしいですねえ。「長嶋茂雄」さんのところも、父であるご本人と長男の「長嶋一茂」さんは「嶋」で、娘の「長島三奈」さんは「島」ですが、「高」「髙」のほうが、差が小さいだけに分かりにくいです・・・。