新・ことば事情
5110「しゃあない」
6月4日、2014ブラジル・ワールドカップのアジア最終予選、日本代表はオーストラリアと対戦。終了間際に本田がPKを決めて同点に追いつき、5大会連続5回目のワールドカップ出場を決めました!おめでとう!強くなったね。
さて、そのものすごくプレッシャーのかかったPKを、ゴールど真ん中に蹴り込んだ本田選手、試合後のインタビューで、
「緊張していたので、真ん中に蹴って取られたら"しゃあない"という気持ちで蹴った」
とコメントしていました。この、
「しゃあない」
は、関西弁です。共通語に訳すと、
「しょうがない」
ですね。私もサッカー歴45年、PKを蹴ったことは何度もありますが、やっぱり緊張しますね。1回だけ中学時代に、キーパーに止められたことはありますが、40年近くたってもまだそのシーンを覚えているぐらいです。
それで、試合中のPK(やFK)を誰が蹴るかは事前に決まっているかと言うと、そんなにきっちりとは決まっていなくて、「流れで」という感じ。もちろん、誰でもいいというわけではないですが。その点、CK(コーナーキック)は「職人」が決まっていますから、ちょっと種類が違うんですね。
実際、PKは「しゃあない」と思わないと蹴れないですよ。「技術」よりも「メンタル」面の強さがないとダメです。前回、南アフリカ・ワールドカップで、パラグアイと0-0でPK戦になって、その際に外してしまった駒野選手なんか、その胸の内を思うと・・・という感じですが、「PK戦のPK」と、「試合中のPK」はまた違う。
「たかがPK、されどPK」
です。
話は変わりますが、オーストラリアの先生ゴール、「シュート」ではなくて「クロス(センタリング)」が、フラフラッと、たまたま入ってしまった感じでした。本当に日本にとっては、「アンラッキー」なゴールでした。"事故"ですね。
そのゴールを見て思い出したのは、今から約40年前の、1970年前後だと思いますが、天皇杯の決勝だったかで、三菱重工(今の「浦和レッズ」の前身)の菊川選手が上げたセンターリング(今でいうクロス)が、たまたまゴールに入ってしまった・・・というシーン。それを直接見たかと言うと、実は「見ていない」。その様子を、漫画家の望月三起也さんが、当時「サッカーマガジン」で連載していた「ワイルド11(イレブン)」(=ご本人の作品である「ワイルド7(セブン)」のパロディー、サッカーなので「イレブン」)の中で描いていたのを思い出しました。菊川さんはその後、地元静岡・藤枝に戻った後、アビスパ福岡などの監督も務められました。