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『道浦TIME』

新・ことば事情

5107「虫歯予防デー」

 

現在、私は報道局とアナウンス部の「兼務」ということで、月に1回か2か月に1回、ニュースの輪番勤務が回って来ます。たまにしか読まないと、やはり"ニュースの読み"というのは難しいものだなあと実感します。

先日も「6月4日」を前にして「クジラの歯磨き」という、業界でいうところのいわゆる「ひまネタ」ニュースを読みました。

しかし、ニュース原稿の中に、「6月4日」という日付も「虫歯予防デー」という言葉も出て来ません。

「6月4日」→「6・4」→「む・し」→「虫歯」→「虫歯予防」

という語呂合わせでこの日になった(に違いない)のに、それを言わないと、たとえ「ひまネタ」でも、ニュース価値は半減すると思い、

「これじゃあ、なぜ(6月4日を前にした)今の時期に"歯磨き"をするのかが分からないよ」と言って、

「6月4日の虫歯予防デーを前に」

という説明を加えてもらいました。若い記者は、

「ああ、それで今頃に『クジラの歯磨き』をするんですか!」

初めて納得がいった様子。自明すぎて説明を省いているうちに、何年かたって、「なぜ、今なのか?」というところが分からなくなっている一例だと思いました。

そして、「虫歯予防デー」当日の6月4日、報道のSデスクが、

「道浦さん、こんなの知ってましたか?」

と、厚生労働省から送られてきた一枚のファクスを手渡してくれました。そこには、

「『歯の衛生週間』の名称等変更について~約50年ぶりに名称変更『歯の衛生週間』から『歯と口の健康週間』へ」

とタイトルが記されていました。それを読むと、

「昭和33年から『歯の衛生週間』の名称で実施していた。(昭和3年に「むし歯予防デー」として実施開始)」

とあるではないですか!え!ということは、「虫歯(むし歯)予防デー」都言う名称は、もう半世紀以上前の、昭和33年(1958年)になくなっていたの?ウソー!信じられない!!

意図はわかりますが、やはり「虫歯予防デー」という名前は残してほしいと思います。「歯周病予防デー」とか言われても「なぜ6月4日からか?」が分からないし、ましてや「歯と口の~」って名称は、長すぎです!

(2013、6、4)

2013年6月 4日 17:16 | コメント (0)