新・ことば事情
5099「ワースト3」
2010年4月に、
「待機児童全国ワースト1位」
だった横浜市が、わずか3年で「待機児童ゼロ」を達成したと、2013年5月21日の読売新聞が伝えています。その中で、
「待機児童数ワ-スト3」
という言葉も出てきました。横浜市、名古屋市、札幌市を指すのだそうですだそうです。
ここで問題とするのは「待機児童」もさることながら、
「ワースト1位」「ワースト3」
ということば。本来、「ワースト」は「最も悪い」ですから「ワースト3」という表現はおかしいのではないか?「ワースト1位」も重複表現ではないか?
これが「ベスト」でも、「最もいい」のが「ベスト」ですから、「ベスト1」とか「ベスト3」「ベスト4」「ベスト10」もおかしいということで、最近は、
「トップ3」
などという言い方も出てきています。しかし、野球をはじめとするあらゆるスポーツのトーナメントでは、
「ベスト8」「ベスト4」
は普通に使われている「日本語」です。どうしたらええんじゃろうか?
ちなみに、読売新聞以外の新聞は、
(毎日)「待機児童最多からゼロに」「全国ワーストになった」
(産経)「待機児童を巡り、一時全国最多だった横浜市」
(日経)「10年4月の横浜市の待機児童数は全国の市町村で最悪の1552人だった」
(朝日)「3年前に待機児童が全国最多だった横浜市」
というように、「ワースト1位」「ワースト3位」は使っていませんでした。
あ、そうか、「良い・悪い」という評価のベクトルを入れると「ベスト・ワースト」あるいは「最悪」という表現が出て来るけど、単に「人数が最も多い」のであれば、
「最多」
と表現する手もあったか。なるほどね。
(追記)
5月29日の産経新聞に、NHK受信料不払率の都道府県別順位の記事が載っていました。その見出しが、
「大阪 ワースト2位」
でした。「ワ-スト2位」という表現、使っていますね。
ちなみに「ワースト(1位)」は「沖縄県」、「ワースト3位」は「東京都」でした。
(2013、5、29)