新・ことば事情
5093「バットのようなもの」
5月21日の「ミヤネ屋」の午後3時前のニュースで、長野県飯田市で女子高生がバットのようなもので殴られたというニュースをお伝えしました。このニュースの事件の「凶器」である、
「バットのようなもの」
というのを見て思い出したのは、
「バールのようなもの」
です。たいてい、
「窃盗犯がシャッターをこじ開けるための道具」
としてニュースに出て来るのが、この「バールのようなもの」でした。「平成ことば事情3239鈍器のようなもの」「平成ことば事情444鉄棒で殴られて」でも、ちょっと書きました。この「バール」のケースでは、道具そのものは見たわけではないが、シャッターに残った傷跡などから推定して、
「バールのような形状を持った道具ではないか」
ということで、
「バールのようなもの」
としているのでしょうが、「今回の女子高生が襲われた凶器」の場合は、被害者の女子高生が「凶器」そのものを「目撃していると思われる」わけです。でも突然のことなので、はっきりとは見ていない、覚えていないということもあるでしょう。何か「長い棒」のようなもので、似たような形状としては「バット」という物が近いのではないか?というところから、
「バットのようなもの」
と伝えられたのではないかと思われます。
「見てはいるが、断定はできない」=「バットのようなもの」
「見てはいないが、残された手がかりから推定できる特徴と近い物」=「バールのようなもの」
というように、同じように「○○のようなもの」でも、ちょっと内容は違うかなという気がしますね。
(追記)
これを書いた直後に、18歳の無職の少年が逮捕されました。
「金属バットで」女子高生を殴って殺そうとした容疑だそうです。
(2013、5、21)
(追記2)
5月22日のお昼のニュースでは、現場近くから、
「木製のバット」
が見つかったそうです。「金属バット」じゃなかったのか。
(2013、5、22)