新・ことば事情
5092「復活」
市川海老蔵さんが京都・南座に出演しています。
その興行での口上を紹介する際に、「ミヤネ屋」のスタッフが、
「道浦さん、海老蔵さんがなんて言っているか聞き取れないので、聞いてみてください」
と言ってきました。
行ってみると、ことし2月に亡くなった父・十二代目・團十郎さんについて、
「父も病気から復活して、一緒に舞台に立てることを楽しみにしていましたが、残念ながら叶いませんでした」
というような内容でした。この
「復活」
が聞き取れないで、
「『且つ』って言ってるように聞こえるんですが、意味がわかりません」
と編集室にいるスタッフ4~5人が言うのです。
「『復活』だろ。そう言ってるよ。」
と言ったら、
「あ、『復活』かあ!」
と気付いたようですが、私にとっては、なぜ気付かないのか不思議でした。が、ちょっと考えて、「あ、そうか!」と思いました。
「復活」という言葉は、発音する際には「フッ」の部分は「無声音」、つまり声帯を使わない母音を伴わない音で発音します。バースデーケーキのろうそくを消す時に、息を「フッ」と吹く感じの音です。映像を見ていると海老蔵さんは「フッ」の部分を言っている時に、ほっぺたが少しへっこむ感じで、息を吹いているような感じに見えます。つまり無声音で「フッ」と言っているのです。
ところが関西では、そうは発音しません。全部有声音で「フッカツ」ときっちり発音します。もしかしたら、そういったことが原因で、無声音の「フッ」を関西人のスタッフたちは聞き取れなかったのではないか?と思ったのです。いくらなんでも、そんなことがあるのかな?でも、ふだん使わない言葉は聞き取れないということは、あり得るかもしれませんね。