新・ことば事情
5082「鳥目」
深沢七郎の『言わなければよかった日記』を読んでいたら、
「御鳥目」
という言葉が出てきました。「とりめ」ではありません。「ちょうもく」です。この
「お鳥目(ちょうもく)」
とは、
「お金のこと」
です。真ん中に穴があいていて、その形が鳥の目に似ているところからこの名前があるそうです。
しかし、私が「鳥目」と聞いて思い浮かんだのは、子供の頃に遊んだゲームの、
「魚鳥木(ぎょちょうもく)」
です。ご存じですか?キャンプファイアーなどでたくさんの子どもたちが火の周りを囲んでいる時に、「鬼」が、
「魚鳥木(ぎょちょうもく)、申すか?申すか?」
と言うと、みんなが、
「申す、申す!」
と答える、すると「鬼」が誰か一人を指さし、
「魚(ぎょ)!」
というと、「魚の名前」を何か一つ言わないといけない。「鳥(ちょう)」なら「鳥の名前」、「木(もく)」なら「木の名前」を言うのです。言えればOKで、そのままゲームは続き、もし、「10」数える間に言えなければ、その子が「鬼」になってゲームは続くというもの。
「鳥目」と「(魚)鳥木」、字が違いましたね、音は同じだけど。
「鳥目」はまた、
「鵞眼(ががん)」
とも言うそうで、これは『広辞苑』によると、
「(円形の中に四角い孔のある形が鵞鳥(がちょう)の眼に似ているからという)銭(ぜに)の異称。鳥目(ちょうもく)。鵞眼銭。」
と説明されていました。