新・ことば事情
5081「6冠か?六冠か?」
5月13日、囲碁の七大タイトルのうちの6つを同時に制覇した井山裕太さん(23)の「六冠達成記念祝賀パーティー」が開かれたという記事が各紙夕刊に載りました。その見出しと記事を見ると、「漢数字か?洋数字か?」という問題が見て取れます。
(読売)「六冠」
(朝日)「六冠」
(毎日)「6冠」
(産経)「6冠」
日経は記事が載っていませんでした。
ということで、読売・朝日は「六」と漢数字、毎日・産経は「6」と洋数字です。しかし、 さらに細かく見ると微妙な違いが。
(読売)「六冠」「七大タイトル」「五冠」「七冠」「六つ」「十段」「九段」
(朝日)「六冠」「七大タイトル」「七番勝負」「五冠」「七冠」「六つ」「九段」
(毎日)「6冠」「七番勝負」「5冠」「7冠」「十段」「九段」
(産経)「6冠」「五冠」「1冠」「6つ」「十段」「7冠」「七大タイトル」「十段」
ということで、読売・朝日は、囲碁関連の数字は「漢数字」で統一されていますが、毎日と産経は、洋数字と漢数字が混在しています。特に産経は、見出しが、
「井山五冠の6冠祝賀会 『1冠失い...気持ち新た』」
と、ちょっと妙な感じです。なぜ「五冠」だけ漢数字なのでしょうか?
また、毎日新聞は見出しが、
「井山6冠 300人が祝福」
とあるのですが、その横に載った「パーティーの写真」に写った「看板」には、
「六冠達成記念」
と漢数字の「六冠」が大きく写っています。それに、既に「1冠」を失って「5冠」になっている、という事情もあって、ややこしい。
先日、関西地区新聞用語懇談会で「漢数字と洋数字の使い分けの現状」についてのアンケートが行われ、その結果が発表されたばかりだったので、余計に興味が湧きました。