新・ことば事情
5075「後ろ倒し」
4月の新聞用語懇談会放送分科会で、フジテレビの委員から、
「最近『就職協定』のニュースなどで『後ろ倒し』という表現を耳にするようになったが、各社はこの表現は使っているんでしょうか?」
という質問が出ました。これに対する各社の意見は、
(NHK)政府コメントで「就職協定を"後ろ倒し"して」と最近よく出て来る。「先送り」の言い換え語ではないか?
(共同通信)社内の用語委員会でも問題になった。「前倒し」も、そもそも役人用語。
(読売新聞)就職関連の記事でよく出て来る。先日、朝日新聞は「大見出し」でも使った。読売新聞でも「抗しがたい」感じ。でも、個人的には「使うべきではない」と思う。
(テレビ大阪)各紙、見出しに出て来ているようだ。
(テレビ東京)「後ろ倒し」はニュース原稿に出て来た記憶はない。
というものでした。
「前倒し」はあっても「後ろ倒し」はないよなあ!
グーグル検索では(5月7日)、
「後ろ倒し」= 10万8000件
「前倒し」 =249万0000件
でした。圧倒的に「前倒し」の方が使われています。
ネットのgoo辞書には、
「『前倒し』に対して作られた語。『あとだおし』とも。予定の時期を先に延ばすこと。先送り。(例)『開始時期を後ろ倒しする』」
とありました。また2010年6月ごろに、
「『後ろ倒し』というのは正しい日本語でしょうか?」
という疑問がネットに挙げられていて、その時点でgoo辞書に新語として載っていたということです。