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『道浦TIME』

新・ことば事情

5074「空回る」

 

本を読んでいたら、

「空回った」

という言い回しが出てきました。「空回り」という「名詞」はありますが、「空回る」という「動詞」は、まだないはず。ネットで検索してみました。(5月6日)

「空回る」 =10万7000件

「空回った」=25万3000件

と、やはりネット上ではかなり使われているようです。

従来の言葉は「名詞形」で、

「空回り」=250万件

です。こちらは「空回った」の10倍使われています。当然ですが。

「空回り」という名詞は「から()」という形容詞句と、「回り」という「回る」の連用形が名詞になったものがくっついた「複合語」です。その「名詞」が「動詞に変わる」ということは、「先祖がえり」のような感じですが、例えば、「着替え」は、「着る」という「動詞」と「替える」という「動詞」がくっついて「着替(きが)え」という「名詞形」になっています。「着替える」という「複合動詞」もありますが、動詞では「きかえる」と「濁らず」、「名詞」の「きがえ」は「濁る」という違いがありました。が、その後、「名詞形」の「濁る」読みが「動詞形」にも影響を与えて、「きがえる」というふうに「濁る」「動詞」の形も登場しました。同じことは、「通りがかり」という「名詞」にも登場しています。(「通りかかった」は「動詞」なので本来「濁らない」のだが、最近は「通りがかった」と「濁る」ようになってきている)。

というようなことで、「名詞形」が「動詞形」に「先祖がえり」することは、「ある」のですが、最初は「誤用」だと言われるでしょうね。

(2013、5、6)

2013年5月 8日 11:54 | コメント (0)