新・ことば事情
5072「ニューミュージックとニュー・ミュージック」
3月21日の日経新聞夕刊文化欄で、音楽評論家の富沢一誠さんが「フォークの時代」と題したコラムの3回目。サブタイトルは、
『「四畳半」から「ワンルーム」へ ~ 生活感ないポップさ 衝撃』
というもの。「ニューミュージック」について書かれているのですが、その中で、「へえー」
という記述が。それによると、当時は、
「ニュー・ミュージック」
というように、間に「・」が入る表記と、
「ニューミュージック」
とつながった「・」が入らない表記の2種類があって、意味が違ったというのです。
「荒井由実やティン・パン・アレー(細野晴臣、松任谷正隆、鈴木茂、林立夫)」
などの新しいタイプのアーティストたちを、従来のフォークやロックという言葉では、くくりきれなくなったので、「新しい音楽」という意味で、
「ニュー・ミュージック」
と「・」を入れた言葉が使われ始めたと。そしてもう一つは、
「吉田拓郎や井上陽水、かぐや姫などのフォークから、新しく現れた荒井由実やティン・パン・アレーなど」
を全てをひっくるめた呼び方を、
「ニューミュージック」
と「・」を入れない、便宜的に総称するための造語だというのです。富沢さんは、
「ニュー・ミュージックとニューミュージックは意味合いが全く違った」
「一般的には後者の意味で使われている」
と記しています。
たしかに私はこのコラムを読むまで、全部をひっくるめての総称「ニューミュージック」しか意識したことはありませんでした。専門家は使い分けていたんですね。知りませんでした。勉強になりました。