新・ことば事情
5070「『度』か『回』か」
イングランド・プレミアリーグ、香川真司選手が所属する「マンチェスター・ユナイテッド」が、2季ぶり20度目の優勝を飾りました。香川、すごい!
それを伝えた4月23日のテレビのニュースを見たら、テレビ朝日の「報道ステーション」は、
「20度目の優勝」
日本テレビ「ニュースZERO」はスーパーもナレーションも、
「20回目の優勝」
でした。4月23日の各紙夕刊を見ると、読売・朝日・毎日・産経・日経の全国紙5紙はすべて、
「20度目の優勝」
でした。
「度」か?「回」か?
ほとんど意味は変わらないと思いますが、使い分けに関していうと、先日の米・ボストンで起きた爆弾テロ事件の際も、「爆発」が、
「2回目」か?「2度目」か?
という表現の問題が生じました。それについては、先週末、まだ容疑者が捕まっていない段階で、こんな文章を「ミヤネ屋」のスタッフ向けに書きました。
「『2度』と『2回』」
アメリカのボストンマラソンのゴール付近で、手製とみられる爆弾が爆発する事件がありました。犯人はまだ見つかっていません。
この爆発は「2度」起こりました。それを表す際、「2度」なのか?それとも「2回」なのか?
意味はどちらもほぼ同じですが、より厳密に言うと、「回」は「一定の周期で必ず起きることが分かっている場合」に使います。例えば「卒業式」や「『ミヤネ屋』の放送」は「第○○回」と表し「○度」とは言いません。
それに対して「度」は定期的か不定期かを問わず、起きた回数を(あ、「回」が入ってる!)示します。たとえば紅白歌合戦の出場も、必ず毎年出られるわけではないので、本来は、
×「12回目の出場」→○「12度目の出場」
とすべきです。しかし、現状はそれほど厳密に運用されているわけではなく、今回の爆発事件を伝えた新聞記事などでも、「2回目の爆発」といった表記も見られました・・・。「できるだけ、本来の使い方をするようにする」
というところでしょうか。
参考までに(あまり参考にならないが)4月18日(木)のフジテレビ「とくダネ!」では、
「1回目の爆発」「2度目の爆発」
と、統一されていませんでした。フジの田中大貴アナウンサーの説明部分も、マルチの文字表記では、
「1回目」「2回目」
と「回」で統一していましたが、コメントは、
「1回目」「2回目」「2度目」
と、やはり混在していました。
ということで、テレビの場合は、制作者側も視聴者側も、あまあり気にしていないというのが実態ではあります。新聞はさすがに文字に対しての神経は研ぎ澄まされているように感じました。