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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_085

『「余命3カ月」のウソ』(近藤誠、ベスト新書:2013、4、20)

 

「ガンとは闘うな」という持論を展開されている近藤医師。読んでみると「外科手術は体に負担をかける」「抗がん剤が効くがんの種類は限られている」ということで、疼痛管理を行いながら、まったく治療は行わないというのが、一番余命が長くなる可能性がある、という主張です。たしかに「がん」は、外から来るものではなく、内在的に育っていく自分の体の一部だから、考え方を180度転換する必要があるのかもしれない。とはいうものの、「闘病」という言葉もあるぐらいだから、なかなか「がんと共生する」という考えを取れる勇気のある人は少ないのではないか。かといって、この本を読んで「抗がん剤を使いたい」とか「治療には手術しかない」とも思えないのも確か。もし、勘三郎さんが手術を受けなければ、新しい歌舞伎座の舞台に立てたのではないかという指摘には、「たしかに、そういう選択もあったのではないか」とうなずかざるを得ない気がした。


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(2013、5、6)

2013年5月11日 12:11 | コメント (0)