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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_081

『私の東京地図』(小林信彦、筑摩書房:2013、1、10)

 

雑誌「東京人」ででも連載されていたか・・・のような随筆。でも実際は「東京人」ではなく、「ちくま」で連載していたものをまとめたものだそうだ。

あくまで「東京オリンピック以前の東京」に愛着を持つ著者が、現在の東京の町と、自らの記憶の中にある「東京オリンピック以前の東京」の姿を重ねあわせながら描くエッセイ。それでもところどころ、古い東京の面影を残している良さ、新しいものでもそういった精神を残している良さを取り上げては褒めている。

私は、「渋谷東急会館」が閉館になったのも、「渋谷ヒカリエ」ができたのも知っていたが、"ヒカリエが東急会館の跡地に建った"というのは知らなかった。小林がすでに80歳近い高齢になり出不精と言いながら、新しい街もしっかりとチェックしているところには、感嘆した。小林が思い描く東京は50年以上前の東京だが、私が知っている東京もすでに30年以上前の東京になりつつある(一部を除く)ことを改めて知って、「月日が経つのは早いものだなあ・・・」と実感した次第。


star4

(2013、5、5)

2013年5月 9日 12:14 | コメント (0)