新・ことば事情
5065「新しい門出」
「ミヤネ屋」の原稿をチェックしていたら、Kデスクが、
「これは重複表現ではないですか?」
と指差した先にあったのは、
「新しい門出」
という言葉でした。つい聞き流してしまいそうですが、確かに「門出」は「旅立ち」ですから、
「新しい世界への出発」
を意味しますよね。それに「新しい」を付けると、
「新しい『新しい世界への出発』」
となって、どうやら「重複表現」のようです。
この手の言葉は「耳あたりりがよい」「聞こえが良い」ので、つい、見逃して(聞き逃して)しまいそうですね。グーグル検索では(4月24日)、
「新しい門出」=26万7000件
もありました。強調表現として使ってもいいのかな、という気は、少しします。
グーグル検索でトップに出て来たのは、ネットの辞書「weblio辞書」の「実用日本語表現辞典」で、そこには、
「新しい門出 読み方:あたらしいかどで」=「門出」は出発、旅立ちのこと。新生活、従来とは異なる暮らしを比喩的に示す表現。
とありました。使ってもいいのかなあ。
また、よく見ると、グーグル検索の2番目に出て来ているのは、なんと、2001年の元日の、
「独立行政法人 国立国語研究所」
の甲斐睦朗所長(当時)の文章です。それには、
「年頭の辞:新しい門出に際して」
とあります。ということは、やはり、
「使ってもよい」
ということなのか?ちなみに甲斐所長(当時)は、
「新年明けましておめでとうございます。」
と冒頭でご挨拶されていますが、これも「重複表現」と言われるものではないのでしょうか?
あ、なんとオフコースの曲名にも「新しい門出」というのがあるぞ。ニュースでもバンバン出て来ているようです。
うーん、どうやら使ってもよさそうだなあ。