新・ことば事情
5063「お父さんのバカ」
会社の廊下を歩いていたら、報道局のOさんから質問を受けました。
「知り合いの外国人で日本語を学んでいる人から『お父さんのバカ』と言う時の『の』はどういう意味ですか?と聞かれて答えられなかったのですけど、この『の』は、一体どういう意味なんでしょうか?」
「うーん、その使い方の説明に関しては、読んだことがあるように思うけど思い出せないな。ちょっと調べてお答えします」
と答えました。
そのあと、ネットで検索したり自分で書いてないかなど調べましたが、出て来ません。
国語辞典の「の」の項目を読むと、
「助詞『が』と同じような使われ方をする」
とありますが、「の」が繋ぐ前後の関係については、うまくあてはまるような説明はありません。『新明解国語辞典』の「ばか」の項目に載っているかなと思いましたが、載っていませんでした。
うーん、どうしてなんだろう...と腕組みして考えていたら、
「あっ!」
とひらめきました。
「これは、倒置法だ!」
つまり、元の形は「お父さんのバカ」ではなく、
「バカのお父さん」
なのです。「カッパの屁」が強調のために倒置されて(まあ、「言葉遊びの感覚」というのもあるかと思いますが)、
「屁のカッパ」
となるのと同じようなことですね。スッキリ!
たぶん、これで正解だと思います。