新・ことば事情
5060「貝毒の読み方」
4月10日、新聞を読んでいたら、
「貝毒で食中毒」
という記事が。この
「貝毒」
ですが、読み方は「かいドク」?それとも「バイドク」?
「かいドク」かなあ・・・「バイドク」だと「梅毒」と間違っちゃいそうですし・・・。
でもそもそも「貝」の「訓読み」が「かい」で、「音読み」は「バイ」ですよね?「毒」の「どく」という読み方は、一見すると「訓読み」のように思えますが、もしかしたら意外と「音読み」かもしれません。というのも「肉(ニク)」は、一見「訓読み」に思えますが、実は「音読み」なんですよね。だから「肉汁(ニクジュウ)」は「肉」の「ニク」が音読みだから「汁」を「ジュウ」と音読みで合わせているのだし。(「ニクじる」と読むのは、放送では誤りとされています。)
漢和辞典を引くと・・・やはり「ドク」は「音読み」でした!
それでいうと「音読み+音読み」で合わせるなら「バイドク」と読むべきところですね。
でも「降灰」が本当は、
「コウカイ」
と読むべきなのに、「灰」のイメージは「はい」なので、一般的には
「コウはい」
と読んでしまっているのと似ていて(専門家も)、
「かいドク」
という「湯桶読み」になるのでしょうか?
それに「バイドク」と読むと、
「梅毒」
と間違われる恐れもあるし・・・。これも辞書には載ってないのかなあ。
『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には「かいドク」「バイドク」、どちらも入っていませんでした。しかし!『広辞苑』には載っていました!読み方は、
「かいどく」
でした。意味は、
「貝類のもつ毒。貝類が有毒プランクトンを摂取して体内に蓄積されたもの」
として、
「サキシトキシン」
を見よ、となっています。で、見てみると、
「有毒プランクトンが産生し、貝類が採取して蓄積する毒素。麻痺性貝毒と呼ばれ、食後30分から3時間ほどで口や手足がしびれ、重症の場合は呼吸麻痺で死亡する。ホタテガイ・アラザラガイ・カキなどに見られる」
ということなので、皆さん、お気を付けください。
あ、ところでアクセントは、
「カ\イドク」(頭高)
「カ/イドク」(平板)
どちらでしょうかね?
(追記)
(「ニクじる」と読むのは、放送では誤りとされています。)
という部分に関して、NHK放送文化亜研究所の塩田雄大さんから、
「NHKでは、『誤り』とまではしていません。」
というご指摘が。それによると、2001年4月の時点で、「肉汁」の読みは、
「1、 ニクジュー 2、ニクジル(アクセントは平板)」
というふうに定められているとのことです。失礼しました。ご指摘の部分は、
(「ニクじる」と読むのは、読売テレビ報道局では誤りとしています。)
に訂正いたします。
(2013、4、19)