新・ことば事情
5054「フリージャーナリストとジャーナリスト」
(2011年6月8日に書き始めたまま、そのままになっていました。当時付けた番号はは「平成ことば事情4381」でした。)
元・株式会社共同通信社社長でジャーナリストの原寿雄さんは、日ごろから
「私は『ジャーナリスト』」
と言っておられると聞きました。それは、
「『フリージャーナリスト』ではない」
という意味で、です。そもそも「フリージャーナリスト」と「ジャーナリスト」は、どう違うのでしょうか?
「フリージャーナリスト」の対極にあるのは何か?と考えると、
「企業ジャーナリスト」
でしょうか?「マスコミ企業」に所属してそれを仕事にしている人たちです。私などももしかしたら「企業ジャーナリスト」の端くれかもしれません。
そして「企業」も「フリー」もあわせて、それでおまんまを食べている人たちは、
「商業ジャーナリスト」
とよべるのではないでしょうか?いや、正確には、
「職業ジャーナリスト」
かな。その中で、独立性の高いものが「フリージャーナリスト」で、それに対して「企業ジャーナリスト」と「商業ジャーナリスト」は、ほぼ同義なのかな?
でも「フリージャーナリスト」という言葉が出始めたのは、ビデオカメラが小型で性能(画質)が良くなってき始めた1990年代半ばぐらいからの気がします。つまり「フリージャーナリスト」というのは「映像分野」のもので、当初は、
「ビデオジャーナリスト」
という言葉がありました。神保哲生さんなどは今も「ビデオジャーナリスト」を名乗ってらっしゃるのではないでしょうか?
その後、「ビデオ」というよりも「インターネット」などを駆使してフリーに活動するジャーなナリストを「フリージャーナリスト」と呼ぶようになってきたのではないでしょうか?
つまり、「フリージャーナリスト」は「映像ジャーナリスト」で、「(何もつかない単なる)ジャーナリスト」は、「ペン」(文字)という分野の違いがあるのかも知れません。
もちろん、一番大きなくくりは「ジャーナリスト」であって、その中に含まれる区分としての話ですが。
そういえば、専門分野によって分ける、
「経済ジャーナリスト」
「皇室ジャーナリスト」
「スポーツジャーナリスト」
などというのもありますね。
そもそも「ジャーナリスト」の「ジャーナル」というのは、
「日記・日誌」
という意味。日々の出来事を書き綴る(ジャーナル)人が、「ジャーナリスト」なのです。そういう意味では「ことば事情」を書き綴っている私は、
「ことばジャーナリスト」
ですね。