新・読書日記 2013_066
『想いの軌跡1975―2012』(塩野七生、新潮社:2012、12、20)
最近よく目にする「キリッとしたおばあちゃん(失礼!)言論人」としてイメージが重なるのは、曾野綾子・金美齢、そしてこの塩野七生だ。みんな思想的には保守的(右寄り)の自立した女性。「哲学」と言うか「美学」を持っていて、それに殉じる覚悟がある人たちのように見受けられる。並みの男は、とても太刀打ちとてもできないであろう。その塩野七生が、まだデビュー間もない1975年から2012年、つい最近までの37年間に書いたエッセイを、編集者が丹念に集めたもの。時代を勘案しつつ、思いを深くしながら読める一冊。黒澤明監督作品への思いやヴィスコンティ監督との交流など、興味深かった。
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