新・ことば事情
5045「あわや大惨事になりました」
3月28日、朝10時過ぎに、日本テレビの「スッキリ!!」の中のニュースを見ていたら、アメリカで大規模な崖崩れがあったというニュースを放送していました。けが人などはなかったということでしたが、このニュースの原稿で女性キャスターが、
「あわや大惨事となりました」
と言っているのを聞いて、
「え!」
と驚きました。
これでは「大惨事になった」のか「ならなかった」のかがわかりません。
同じような「あわや」を使った例文で言うと、
「あわやホームランになるところでした」
というのは、「守備側」から、
「ホームランにならなくてよかったという気持ち」
とともに、
「ホームランではなかったという事実」
を伝えているわけです。
おそらく、今回の場合は、
「あわや大惨事となるところでした」
と言うべきところだったのではないでしょうか?
もしかしたら原稿には、カギカッコを付けて、
「『あわや大惨事』となりました」
と書かれていたのかもしれません。このカギカッコは「という状態」を意味するので、読み方によっては、「あわや大惨事となるところでした」という意味になるかもしれませんが、それを音声で表すのは相当難しい。
原稿の書き手は、
「どんな下手な人が読んでも意味が解る文章を書くことが必要」
ですし、また、読み手は、
「どんな下手な原稿でも、意味が伝わるように読む必要がある」
と思います。「それがプロ」というものではないでしょうか?
でも、そう原稿に書かれていたら、脳を経由しないで目から口に抜けて読んでしまう恐れのある文章ではありますね・・・。