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『道浦TIME』

新・ことば事情

5025「仮の街」

 

3月11日。

東日本大震災から丸2年がたちました。

改めて、亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興をお祈りします。

さて、去年(2012年)5月に福島県の郡山市で開かれた「新聞用語懇談会・春季合同総会」の席で、出席されていた地元の「福島民報」の委員からこんな意見が出ました。

「震災直後に求められていたのは『細かな生活情報』であった。現在は、20003000件もある『エリア別の放射線量』の数値が、近辺の人にとっては重要な数字。それを参考に安心か、あるいは引っ越すかどうかなど判断している。しかし、これのチェックは2人がかりで読みあわせして40分はかかる大変な作業。夕方に数値が出てきて、紙面の締め切りに間に合わせるために、必死で数字と闘っている。『何がニュースなのか?』を毎日、試行錯誤している。そんな中で、これまで聞いたこともなかった『スクリーニング』『ホールボディーカウンター』『サーベイメーター』といった言葉が、『普通の言葉』になってきている・・・。」

というお話がありました。これも大変つらい話です。

そしてもう一つ、「復興」に関して、

『「仮の町」構想を立てている自治体があるが、この言葉を忌み嫌っている首長もいるので、あくまでもカギカッコつきの「仮の町」という表記にしている。』

という話が出ました。この時に私は初めて

「仮の町」

という言葉を知りました。このレベルの話になると、やはり被災地を離れるとなかなか伝わってこないようなのです。

きょうの「情報ライブミヤネ屋」では、震災から丸2年ということで、福島県の南相馬市小高地区から全編・生中継でお伝えしました。その中で取り上げたテーマの一つに「仮の町」がありました。「仮の町」について地元の人たちは「賛成か?反対か?」というアンケートでは、ほぼ半数の人が、

「わからない」

と答えているというデータが示されていました。確かに「具体的な形」が見えないことには、賛成とも反対とも言えないことでしょう。「決められない政治」の影響がここにも出ているように思えました。

もちろん「拙速」はいけませんが、震災復興に限っては「迅速」が求められるのではないでしょうか。と言っても、もう2年、経っているのですが・・・。

(2013、3、11)

2013年3月11日 21:25 | コメント (0)