新・ことば事情
5022「リアル書店」
2月18日読売新聞夕刊に、「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」が全国展開する「TSUTAYA BOOKS」の2012年の販売額が、リアル書店チェーンの売上高合計で国内最大となったという記事が出ていました。紀伊國屋書店よりも売り上げが多いんだ。
この中の、
「リアル書店」
という言葉が目につきました。つまり、
「『店舗』を持つ、いわゆる従来の『書店』『本屋さん』」
のことを指して「リアル書店」と呼ぶのでしょう。それに対して、最近グングン売り上げを伸ばしてきている(であろう)、
「ネット書店」
というのは、当然店舗を持たないので、「リアル書店ではない」のでしょう。だからと言って、「ネット書店」のことを、
「バーチャル書店」
とは言いませんよね?(言うのかな?)というわけではない。ネット上にはリアルに存在するのですから。だから「リアル書店」の対語は「バーチャル書店」ではなく「ネット書店」になるのではないか?ケータイ(電話)が普及することによって、従来の「家庭にある固定電話」のことを、
「家電(いえでん)」
と呼ぶようになったのと同じようなことが、「書店」にも起きているということですね。
これは「CDショップ」「ミュージックショップ」(あるいは「レコード店)にも起きているのではないか?音楽を、そういった「店」「ショップ」で買うのではなく、
「ネットでダウンロードして購入して聴く」
形が広がったことで、おそらくそうなって来ているのではないか。ただ、ネット上のそういったところが、
「○○ストア」
というようなネーミングをしているので、見かけ上は「お店」のような感じはしますが。
形態が変わることでその呼び名も変わると。新しいものが出ることで、古い物の呼び名まで変わってしまうという一例ではないでしょうか。