新・ことば事情
5017「メリハリ」
後輩から質問を受けました。
「メリハリって、どっちがメリで、どっちがハリなんですか?」
「はい?」
「ほら、『凸凹(デコボコ)』の場合は『デコ』が出ていて、『ボコ』がへっこんでるじゃないですか。『メリハリ』はどっちが元気良くて、どっちが元気がないんでしょうか?雰囲気としては『ハリ』は、張り切っている感じがするんですけど。」
「なるほど。考えたこともなかったな。でも確かに『ハリ』は、張り切っているような気がするね。そうすると『メリ』が沈んだ感じかなあ・・・あ、『めり込む』とか言うから、やっぱり引っ込んだ感じがするなあ。もしかしたら、『める』という動詞があったりして」
「へえー『める』から『メリハリ』『めり込む』ねえ。しかし『める』は『めり』ますかねえ?」
「"めり"ます!"めら"なきゃ『メリハリ』にならない!」
と最後は落語のようになりましたが、調べてみてびっくり!やっぱり「める」んです!
「精選版日本国語大辞典」を引くと、
「める(減る)」=(1)減る。少なくなる。また、下がる。(2)衰える。弱る。滅入る。(3)邦楽で、基本の音より低い調子にする。
ということで、(1)(2)の意味ですね。(3)の邦楽での「める」というのはそういうことなのか。では「はる(張る)」も引いてみますと、
「はる(張る)」=「(多く「ハル」と書く)謡曲、義太夫などで、声を強く出す。節を上音にうたい上げる)
とありました。「声を張る」って、そういうことだったのか。
「メリハリ」、よくわかりました。