新・ことば事情
5006「『町ぐるみ』の読み方」
2月22日、愛知県東浦町(チョウ)が、「町ぐるみ」で、人口を水増ししていた、というニュースがありました。これの「町」の読み方ですが、
「まちぐるみ」
と読むと、
「赤ちゃんからおじいちゃん・おばあちゃんまで、みんなが加わった陰謀」
のように感じて違和感があります。実態は、
「東浦町という行政側がグルになって」「町役場が一体となって」
という意味ですよね。そうするとこの場合は、
「チョウぐるみで」
と読んだほうが、意味が伝わるような気がします。
「町」を「まち」と読むか「チョウ」と読むかに関して、先日の新聞用語懇談会放送分科会で、毎日放送の委員から質問が出ました。
「先日あった『和歌山県有田川町でクマが現れ"町の職員"が捕獲しました』というニュースで、"町の職員"の『町』を『チョウの職員が』と読むか、『まちの職員が』と読むか、読み分けについて、ルールがおありでしたら教えてください」
というもの。これに関しては、読売テレビのアナウンス部では、
「チョウ」
と読むことにしていますが(実際は「チョウ」とまち)が混在しているが)、今回の放送分科会で、読売テレビと毎日放送を除く他社は、全部、
「まち」
と読むとのことでした。
しかし、実は10年前(2003年)に同じ疑問を各社にぶつけたことがあって(滋賀・豊郷町の小学校校舎保存を巡って、豊郷町の町長側と市民グループが対立した時)、その際は、「在阪の準キー局」では、
*「チョウ」=朝日放送・読売テレビ・関西テレビ
*「まち」=朝日放送・NHK・毎日放送
※朝日放送は「両方使う」、テレビ大阪は「このニュースは出てこないので読んだことがない」のこと。
「東京キー局」とほかのエリアの局では、
*「チョウ」=TBS、静岡放送
*「まち」=フジテレビ・日本テレビ・NHK・テレビ朝日・テレビ東京
また、その他の読み方としては、『町長側』『行政側』というものもありました。