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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_054

『十字架』(重松清、講談社文庫:2012、12、14)

 

この話自体、キリスト教とは直接関係ないと思うが、内容は遠藤周作の作品を思わせる。中学での「いじめ」が原因で自殺した男子生徒の遺書に、いじめの「犯人」として名前が書かれた2人と、「犯人」なのに名前が書かれなかった1人、そして、感謝の言葉を書かれた女子生徒と、「親友」とされた男子生徒。残された家族と、遺書に名前を書かれた2人の関係を中心に、「物語」は進む。フィクションだが、「基」になった「事実」はある。おそらく、昔から繰り返されてきた「いじめ」の問題と、もう一つ大きな「原罪」として描かれているのは「無関心」について。「無関心」も「加害者」であると、言い切れるのか、言えないのか。考えさせられ、泣かされる「物語」は、「現実」につながっている。


star5

(2013、3、19読了)

2013年3月29日 11:46 | コメント (0)