新・ことば事情
4999「両脚か両足か?」
パラリンピック金メダルでロンドンオリンピックにも出場した南アフリカの陸上選手、オスカー・ピストリウス選手が、自宅で交際相手の女性を射殺したとして逮捕されたニュースで、ピストリウム選手を説明するにあたって、
「両脚義足」
と書くべきか、
「両足義足」
と書くべきか、迷いました。なぜならば、
「義足」
として出てくる字が「足」だから、「両脚」と書くと整合性がないように感じたからです。
「足」と「脚」の使い分けは、『新聞用語集2007年版』によると、
*「足」=一般用語。主として足首から先の部分。
*「脚」=主として太ももから下の部分、動物の脚部、物を支える部分。
とありました。英語で言うと、
*「足」=「foot」
*「脚」=「leg」
のように思います・・・昔、習ったような気が・・・・。
今回のピストリスウ選手は両足の、
「膝から下が義足」
ですから、「足首から先の部分(=足)だけが義足ではない」ですから、
「脚」
でよさそうです。でも「足首から先」だけを指すわけではないのに、なぜ
「『義脚』ではなく『義足』なのか?」
という疑問が出ますが・・・。
「脚」と「足」の熟語の語違いは?思いつくものを挙げてみると、
「二人三脚」「脚本」「馬脚」「脚立」「立脚」・・・
「蛇足」「不足」「充足」「満足」「片足」・・・
「脚」の方が本当の「あし」を指しているような気がするのに対して、「足」は「たりる」という意味で使われているような気がしますね。
結局、今回の表記は、
「両脚義足」
としました。