新・ことば事情
4997「一寸の虫にも五分の魂」
1月12日の日経新聞夕刊のコラム「プロムナード」で、歌人の小島ゆかりさんという方が、「犬も歩けば」というタイトルのコラムを書いていました。小島さんの下の娘さんが最近「ことわざ辞典」を熟読しているそうです。娘さんの勤務先の上司がことわざ好きで、よく「ことわざ」で注意されるが、意味がよく解らないんだそうです。それで熟読を・・・えらい!それに小島さんも付き合わされるとのこと。
その様子の中で出て来た、
「一寸の虫にも五分の魂」
について娘さんが質問を。というか、そもそも「五分の魂」の「五分」を、
「ごふん」
と読んだそうで、小島さんが、
「"ごふん"じゃなくて"ごぶ"。昔の長さの単位。一寸が三センチぐらいで、五分はその半分だから、一、五センチぐらい」
と教えたそうです。それを聞いた娘さんは、
「三センチの虫にも一、五センチの魂?魂、大きすぎない?身長一六0だったら、魂、八0センチだよ。」
その答えに小島さんもグッと詰まって、たしかに大きすぎると。
ところが私はこのやり取りを読んで、「あれ?」っと思ったのです。
小島さんは「五分」を、
「その半分」
と答えています。つまり「五分五分」の「五分」、
「五割=50%」
ですね。私はこのことわざの「五分」は、「五割五分」の「五分」、つまり、
「5%」
だとずっと思っていたのです!「五分」が「半分」なんて、小島さんの娘さんじゃないけど、確かに多すぎないか?
そこで、手元にあった『ことわざ成句使い方事典』(大修館書店)を引くと、なんとしっかりと、
「五分=一寸の半分」
と記されているではないですか!間違っていたのは私か!?
そこで、アナウンス部のメンバーにも、
「『一寸の虫にも五分の魂』ということわざの『五分』の意味は?」
(1)半分
(2)5%
と聞いてみたところ、回答は、
(1)三浦・萩原・本野・五十嵐 =4人
(2)虎谷・牧野・森若・植村・小澤 =5人
で、ほぼ半々で、私と同じく(2)=5%と答えた人の方がわずかに多かったのです。
これって、どうなんでしょうか?
皆さんは、どっち派ですか?
(追記)
アメリカ在住のI先輩からメール。
「『一寸の虫にも五分の魂』の場合の『分』は、1%とか半分とか、割合の意味ではなくて、
『尺貫法で、一寸の10分の1』(広辞苑)という長さの単位ではないでしょうか。ま、この場合は指す長さは一緒になりますけど。」
とご指摘いただきました。そうでしたね。ありがとうございます。
(2013、2、25)