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『道浦TIME』

新・ことば事情

4984「表れると現れる」

「ミヤネ屋」のスタッフから質問です。

「脳梗塞や血圧の上昇などの症状が"あらわれる"という場合には"表れる"でしょうか?それとも"現れる"でしょうか?」

うーん、難しい。『新聞用語集2007年版』を開くと、

*「表れる」(表面に出る。表示・表明)=顔色に表れる、結果に表れる、効果が表れる

*「現れる」(隠れていたものが出てくる。出現・示現)=怪獣が現れる、太陽が現れる、皮膚に湿疹(しっしん)が現れる

とあります。大体の意味は分かるのですが、ここで問題は、

「皮膚に湿疹が現れる」

です。これって病気の症状が出て来たんですよね。そうすると「症状」は「現れる」なのか?でも、「症状」の用例が『新聞用語集』には載っていないんです。

そこで、読売新聞社の『読売スタイルブック2011』を開いてみたところ、

*「表れる」(表面に出る、表現される)=影響が現れる、顔色に表れる、結果に表れる、効果・兆候が表れる、症状・副作用が表れる

*「現れる」(隠れていたものが出てくる、出現、示現)=太陽が現れる、皮膚に湿疹が現れる、目撃者が現れる

ということで、こちらにはちゃんと、

「症状・副作用が表れる」

という用例が載っていました!

『NHK漢字表記辞典』は、あっさりと1例ずつしか出ていませんし、『共同通信社記者ハンドブック』は、かなり用例も多く載せているのですが、肝心の「症状」については例に出ていないので、『読売スタイルブック』は助かりました。

(2013、2、12)

2013年2月14日 16:48 | コメント (0)