新・ことば事情
4978「小児脳死移植」
(2年前に書きかけてそのままでした。当時の番号は「平成ことば事情4350」)。
2011年4月13日、改正臓器移植法に基づいて、15歳未満で初めての脳死移植が行われました。その前日の12日、各紙に、
「初の小児脳死移植へ」
という見出しが出ました。
それを見た『ミヤネ屋』スタッフのIさんが、
「小児って言うと、2,3歳の小さな子供のイメージがあるんですが・・・」
と言ってきました。
「たしかにそうですね。でもこれはおそらく、医学用語としての『小児』で、15歳未満の脳死移植がこれまで認められていなかった。その意味での小児だから、15歳未満のことを指すんじゃないでしょうか?」
と答えました。『広辞苑』で「小児」を引くと、
「小さな子ども。幼児。」
とあって、これではたしかにIさんの感覚と同じです。せいぜい「未就学児」になるでしょう。しかし、風邪薬の表記などで、
「6歳未満1錠、15歳未満2錠、成人3錠」
というように、「15歳を一つの境」にしているのを見たことがあります。今回の「小児」はそちらの「小児」ではないかと思われます。
ネットで「小児」を検索してみたら、こんな説明を見つけました。
『主に医学用語として使われます(小児科や小児ぜんそく等)。言葉の意味としては下記の「子供」と同じような扱いで曖昧ですが、小児科受診としての年齢は15~20歳程度まで(小児科特有の慢性疾患を有している場合は例外)が一般的とされています。』
また「小児区分」について書かれたサイトでは、
「小児区分には一般的に以下の分類が用いられることが多い。
新生児(Neonate, Newborn infant)= 生後28日以内
乳児(Infant) =生後1年未満
幼児(preschool children)= 生後1~6年
学童(school chirdren) =生後6~12年
青年(Adolescent) =生後12年以降
※狭義の小児(child)とは幼児と学童を含む範囲と考えられる。」
ちょっと今回の「小児」には、これはあてはまらないかな。そのほか、小児科の先生が答えているサイトもありました。
「小児のはっきりした定義はありません。一般的には、義務教育が終わる15歳をさすことが多いようです。」
やはり「15歳」ぐらいというのが、医学的には「小児の上限」なのではないでしょうか。大体の人の「子ども」としての成長が完了する時期だということなのではないでしょうか。あとは個人差ということで。
「脳死移植」もそういう意味で「小児」という言葉を使っているのではないでしょうか。