新・ことば事情
4977「国技とお家芸」
柔道女子の全日本代表選手15人が、監督の暴力行為とパワーハラスメントについて異例の訴えを起こしたことに関して、「ミヤネ屋」で「街の声」を聴いた(街頭インタビューの)中に、
「やっぱり『国技』なんで、こんな問題を起こさないように頑張ってほしい」
と言った人が2人もいました。
え?国技?柔道が?
始めて知りました・・・っていうか、「柔道」は「国技」ではないでしょ。
日本で生み出されたということで「発祥の地」は「日本」ですが、「国技」ではないよな。
よく「相撲」を「国技」と言うと、
「相撲は国技ではない」
と言ってこられる方がいらっしゃいます。でも、大相撲は、
「国技館」
でやってるし、これこそほかの国では(「モンゴル相撲」とかは別にして)やっていない競技だから「国技」と呼んでもいいのかなと思う人が多いと思いますが、「柔道」は日本の、
「お家芸」
ではあっても、「国技」ではありません。ではいったい、
「日本の国技」
とは何なのでしょうか?まさか「蹴鞠」とか?じゃないよね?
『精選版日本国語大辞典』で「国技」を引くと、
「その国を代表する、特有な技芸、武芸、スポーツ。日本の国技は相撲とされている」
と書かれていました!『デジタル大辞泉』も、
「その国を代表する特有の武芸・競技・技芸。日本では相撲」
と「相撲」になっていますね。『明鏡国語辞典』も、
「その国を代表する伝統的な武芸・競技。日本では相撲」
と断言しています。『広辞苑』は、
「その国特有の技芸。一国の代表的な競技。日本の相撲など」
と書かれています。『三省堂国語辞典』は、
「その国の代表的な競技・武術。例、日本のすもう」
平仮名だけど「すもう」になっています。『新明解国語辞典』は、
「その国を代表する(伝統的な)武術・技芸・スポーツなど。日本ではすもう。」
と、やはり平仮名で「すもう」。
どうも「国語辞典」では「日本の国技は相撲」と断定しているようですね。
結局、この2人のインタビューは使ったのですが、スーパーでのフォローは「国技」という部分を外して放送しました。