新・ことば事情
4975「異臭と悪臭」
2013年1月16日、ANAの「ボーイング787」の機内で"異臭"がして煙が出たため、高松空港に緊急着陸した事案がありました。その後、電池が、
「熱暴走」
したという報告がされていました。「熱暴走」も聞き慣れない言葉ですが、それよりも、その時に「どっちかな?」と思ったのは、
「『異臭』と『悪臭』の違いは?」
ということでした。
「異臭」は、「変わったにおい」ですね。いつもなら、そこでするはずのない臭い。
一方の「悪臭」は、まさに「臭いにおい」。「悪臭」もまた「異臭」でしょう。
ただ、ごみ処理場(清掃工場)などでは、常にごみの「悪臭」がしていますから、特にそれがいつもと異なっているわけではないので、「ごみの臭い」を「異臭」とは呼ばないでしょう。いつもはごみ処理場にいない人が、そこに行った場合には、その臭いを、「悪臭」であり「異臭」であると感じるかもしれませんが。
「集合論」の「ベン図」で書くと、「異臭」の大きな円(○)の中に「悪臭」の○が含まれるのではないかなと感じました。