新・ことば事情
4974「無間地獄」
2月3日に66歳で亡くなった十二代目・市川團十郎さんが、2004年に白血病の治療に入り、そこからの復活会見で語った、治療中の感想の中に、
「無間地獄のようだった」
という言葉がありました。最初この字幕スーパーを、
「無限地獄」
と書いてあったので調べてみたら、正しくは、
「無間地獄」
だったので、あわてて直しました。この感想を、父亡き後、息子の海老蔵さんなども「思い出」として語っていましたが、それらの発音は、
「ムゲンジゴク」
と濁っていました。ところが!この「無間」の読み方、正しくは、
「ムケン」
と濁らないのです。意味は、
「八大地獄の第8。五逆・謗法の大悪を犯した者が、ここに生まれ、間断なく剣樹・刀山・かく湯(とう)(「かく」は金へんに「護」のつくり部分)等の苦しみを受ける、諸地獄中で最も苦しい地獄。阿鼻地獄。無間地獄。阿鼻叫喚地獄。阿鼻大城」(「広辞苑」)
で、そもそも「無間」は、
「梵語Avici (阿鼻)を訳したもの」
だそうです。「阿鼻叫喚」の「阿鼻」は、サンスクリットの「アビ」をそのまま音訳していたのか!
仏教語の世界は奥が深いですねえ。