新・ことば事情
4988「CRとPR」
『看取り先生の遺書~がんで安らかな最期を迎えるために』(奥野修司、文藝春秋:2013、1、25)という本を読んでいたら、
「CR」「PR」
というアルファベットの略語が出てきました。
「CR」
というのは、
「コンプリート・レスポンス」
の略で、
「完全寛解、著効、すべての病変の100%縮小、消失が4週間以上継続」
の状態を指すのだそうです。
「PR」
というのは、
「パーシャル・レスポンス」
の略で、
「部分寛解、病変の50%以上の縮小が4週間以上持続」
の状態を指すのだそうです。
先日亡くなった市川團十郎さんが、最初の白血病治療を終えられた時に、
「寛解・・・と言うんだそうですが」
と会見でおっしゃってたことが思い出されました。がんの場合は、
「完治」
という言葉ではなく、「寛解」という言葉を使う。「完治」は「5年以上生存」して初めて口にできる言葉だということでしょう。
まだこの本を全部読んだわけではないのですが、医者は「健康な状態に戻す」のが仕事だが、「がん」で余命がわずかという場合にはもう医者は「健康」な状態に戻すことはできない。生き物は生まれて来ていつかは死ぬ。その時期に来ている時に、「自然」に任せる仕事は「医者」の仕事ではないが、それをやってくれるのは「治療」ではなく「介護」の仕事になる。そう悟った「看取り先生」は、「在宅医療」に取り組むことになるという話。しかもその先生が「がん」であることが分かった・・・。考えさせられる本です。
あれ?「読書日記」みたいになっちゃいました。