新・ことば事情
4927「X'masか?Xmasか?」
ちょっとタイミングがずれてしまいましたが・・・「クリスマス」の話題。
「クリスマス」の横文字表記ですが、よく質問を受けるのが、
「X'masか?Xmasか?」
という問題です。つまり「 ' 」が付くのか、付かないのか?ということです。
正解から言うと、
「付かない」
のが正しいのです。
「日本クリスマス協会」というところのサイトによると、
「Xmas の X はアルファベットの X でもあるのですが、歴史的にはチェックマークの様な基本的なしるしです。キリスト教文化圏の基本的な記号クロス、つまり十字架であって、これ自体が『キリスト』を表わす記号です。ですから、ここにアポストロフィを使うのは誤りです。ちなみに mas はミサです。ギリシャ語でキリストはクリストス Χριστοσ で、Χではじまります。 (日本語フォントにはない字形なので代用しましたが実際のスペルではοオミクロンにアクセント記号'が付き、ギリシャ語では語尾のσはSのような形の文字に字形が変化します。) 」
とありました。
最近は、以前に比べるとずいぶん「X'mas」という表記が減って、正しく「Xmas」と記していることが増えたように思うのですが、それでも、まだまだ「X'mas」も目にしますよね。『週刊文春』の2012年12月6日号のカラー写真の特集ページの表記も、
「X'masケーキ2012最前線」
と「X'mas」の表記でした。
(追記)
用語懇談会でお世話になった金武伸弥さんの著書『新聞と現代日本語 (文春新書)を久々にひっぱり出して来たら、このことについてしっかり書かれていました。213~215ページ。
「XmasのXはギリシャ語でキリストを意味する<***(略)***>の最初の文字『キー(カイ)』です。後にこの文字だけでもキリストを意味するようになりました。X=Christですが、英語のChristの略ではなく、発音も省略しませんから、『'』をつけないのです。」(***のところはギリシャ文字)
とのことです。詳しくは本書をお読みください。
(2013、2、18)