新・ことば事情
4957「しなごい」
三重県伊賀上野出身の両親(ともに77歳)が、先日、
「しなごい」
という言葉について話していました。
「これは『伊賀弁』だろう」
と本人たちも言っていましたが、私は聞いたことも使ったこともありません。意味は、
「かみ切りにくい」
また、「人」の表現にも使って、
「あの人は、しなごい女だ」
という言い方もするそうですが、いずれにせよ、
「いい意味では使わない」
のだそうです。
語感で言うと、「しな」の部分は「しなやか」をイメージしますが、「ごい」は「しつこい」などの「こい」のさらに強力な感じ(濁点の分だけ)がしますね、個人的には。
ネットで「伊賀弁」のサイトを見つけました。そこには、
「すじ肉やスルメ等のように噛み切れない食感を指す。(相当する標準語は存在しない)」
とありました。グーグル検索では「しなごい」は2万2000件でした。(1月27日)
「伊賀弁」(というか、三重弁)というと、
「とごる」
という言葉も、標準語には存在しません。「底の方に沈殿する」という意味ですが、そんな漢語を使わないで言うとなると、困ってしまいます。(以前「平成ことば事情849 とごる」と「平成ことば事情2220 とごる2」に書きました)
伊賀弁って、結構、豊かな表現力を持っているんだなあと感じました。