新・ことば事情
4948「順延」
NHKの原田邦博さんからメールが届きました。
「先日(1月14日)の高校サッカーの決勝戦が、雪のため19日に延期されたニュースで、いくつかの新聞・放送が『順延』を使っていました。『順延』には『次の天気のよい日』のニュアンスがあり、しかも『決勝戦』のみですので、このケースは『順延』ではなく、単なる『延期』でしょうね。」
これに対して私のお返事。
「私もそう思いました。しかし、正しくはそうでも、『延期』には『無期限の延期』のニュアンスがあり、それに対して『順延』だと、『すでに日程が定まった延期』のニュアンスがあるところから、そのような対応になったのではないでしょうかね?」
私と原田さんも所属している日本新聞協会・新聞用語懇談会放送分科会編『放送で気になる言葉・改訂新版』を紐解くと、これに関した項目が、8ページに載っています。
「催し物の中止を知らせるアナウンスだが、順延と延期は違う。『順延』は今日が中止なら明日、明日も中止ならあさってと、1日1日順繰りに日を延ばすことで、『雨天順延』は短い語句の中にこれだけの意味が込められていることになる。1日飛ばしてあさってにする場合を『順延』と呼ぶのは明らかに間違いで、『あさってに延期される』と言うべきだ。『延期』は『順延』を含むから、翌日に延びる時に『延期』を使うのは差し支えない」
とあります。
ま、この通りなのですが。
19日に「延期」された高校サッカー決勝「京都橘(京都)対 鵬翔(宮崎)」の試合は、2対2でPK戦となり、宮崎の鵬翔高校がPK戦を5対3で制して初優勝を飾りました。おめでとう!
「鵬翔高校」は前の校名を「宮崎中央高校」と言います。今から25年ほど前に、その「宮崎中央高校」と埼玉の「武南高校」の試合を実況したことがあります。試合前日の元日の夜、宮崎中央高校の宿舎に取材に行ったのですが、なかなか松崎監督が取材に応じてくれなくて、宿舎の寒い玄関で待たされたことを思い出しました。
あの宮崎中央、鵬翔高校が全国制覇するなんて・・・・感慨深いです。松崎先生、おめでとうございました!