新・ことば事情
4947「旦那」
『仏教漢語50話』(興膳宏、岩波新書:2011、8、20)という本を読んでいたら、「旦那」
という言葉について書かれていました。それによると、
「布施」
という言葉のサンスクリットの「音訳」(サンスクリットの音に、漢字を表音文字として宛てた)が、
「旦那・檀那」
だそうです。そうすると、
「檀家」
というのは、もしかして、
「檀那の家」
ということかな?つまり「お布施をする家(人)」。『精選版日本国語大辞典』で「檀家」を引くと1番目の意味に、
「だんか(檀家)」=「一定の寺に墓地を持ち、布施などによってその寺を援助する家。檀越(だんおつ)。檀那。だんけ。」
とありました。ピンポンピンポン、当たりでした。
さらに本を読み進めると、「旦那」に当たる「サンスクリット語」は、「フランス語」では、「与える」という意味の「donner」。そもそも「ラテン語」の「donare」から出ていて、「イタリア語」では「donare」だとのこと。
ああ、これが「インド・ヨーロッパ語族」か。語源的には同じなのだ。
つまり、「臓器移植」の「ドナー」も、元をたどればサンスクリットの「与える」という意味からきていたのだ!「臓器の檀家」は「ドナー」か!
ちなみに「英語」の「donor」の意味は「寄付・寄贈する人」です。
「旦那」と臓器移植の「ドナー」が、こんなところでつながっていたなんて、ご存じでしたか、旦那?