新・ことば事情
4939「ピタッと」
<2008年の10月21日にアイデアだけメモして、その後置きっぱなしでした。当時は「平成ことば事情3513でした>
アニメ『崖の上のポニョ』に、
「ピトッ」
というのが出てきました。それを見て、
「擬態語としての『ピトッ』と『ピタッ』と『ビタッ』『ビトッ』はどう違うのだろうか?」
と思いました。それぞれの「私の語感」を書いてみます。
最初の音が「ピ」(P)の方が「表面的な接触」を表していて軽い感じ。これに対して、これが「ビ」(B)になると、もっと「粘着質な接触」「重たい感じ」を表す気がします。
ということで、まず軽い「ピ」(P)から。
「ピトッ」=「ピンポイント」に狭い範囲に、表面的に接触している感じ。
「ピタッ」=ある程度の面積の接触面を持って、表面的についている感じ。
一方の「ビ」(B)は、
「ビトッ」=かなりの強さを持って張り付けられた感じ。ただ接触面積は狭い。
「ビタッ」=ある程度の面積を持って、強く接着している感じ。
さらに「ピ」「ビ」が、「ペ」「ベ」になるとどうなるのか?軽い「ペ」(P)から。
「ペトッ」=接触範囲が狭く、軽い接着。
「ペタッ」=接触面積がある程度広く、軽い接着。
その後、「ベ」(B)」です。
「ベトッ」=接触面は狭く、粘着質のある強い接着。
「ベタッ」=接触面は広く、粘着質のある強い接着。
というのが私の語感です。
これからわかることは、半濁音(ピ・ペ)と濁音(ビ・ベ)では、
「濁音の方が、粘着質の強い接着」
に感じられ、また、「ト(TO)」と「タ(TA)」では、
「口を開ける範囲の広い『A』の母音を持つ『タ』の方が、接触面積が広く感じられる」
という感じです。「ピ(PI)」と「ペ」(PE)、「ビ」(BI)と「ベ」(BE)でも、
「口の開きが狭い母音『I』を持つ『ピ』『ビ』よりも、やや広い母音『E』を持つ『ペ』『ベ』の方が、接触面が広く感じられる」
というところでしょうか。
それぞれの母音の口の開きの広さが、語感にも影響を与えているように思えます。
あ、それと最初に出て来た『崖の上のポニョ』に、「ピトッ」は、
(1)半濁音である
(2)口の開きの狭い母音「I」を含む
というところから、
「かわいらしい響きの音」
になっているということもあると思います。