新・ことば事情
4929「路線バスの"ロ"」
昨年末、北海道のキロロ・リゾートにスキーをしに行った時のこと。
スキー場では、若い外国人のスタッフが結構たくさんいました。「スキー」が好きということで、国を超えてやってきたのでしょう。
そのうちの一人の若い外国人男性スタッフが、"日本語で"場内アナウンスをしていました。その中で、
「路線バス」
という言葉の「ロ」が、明らかに日本人の「ロ」とは違う、「巻き舌での"ロ"」で、私たちが聞いていると、
「ゥロセンバス」
と聞こえて、なんとなくおかしかったです。
日本語だと「ロ」と「ゥロ」の違いがハッキリとわかるのに、これが英語やほかの外国語になるとわからないというのは、(また、その若い外国人スタッフにとっては、「ロ」が言えずに「ゥロ」と巻き舌になってしまうということは)やはり、その国に生まれて以来身に沁みついている「母語」というのは強いものだなあと改めて感じたのでした。
あ、余談ですが、巻き舌で「ゥロセン」というと、いわゆる一つの、男性の"なに"を指す"落語での隠語"の「ロセン」に聞こえるような気がしたのは、私だけでしょうか?
(おまけ)
Yahoo知恵袋でのベストアンサーによると、
「ロセンとは、船の櫓についている突起物を櫓栓(ロセン)といったことが起源とする説や、幇間(ほうかん)が使っていた陰語『戸栓』が起源だとする説もある。また(『女性』を意味する)『タレ』とは、櫓栓がひっかかる部分を櫓臍といい、船頭さんたちがこの部分を『タレ』と呼んでいたことが起源だとする説や、ロセンと同様に幇間の隠語が起源だとする説などもある。(中田昌秀著『笑解・現代楽屋ことば』湯川書房刊)」
のだそうです。勉強になりました。
なお、米川明彦先生編『日本俗語大辞典』(東京堂出版)には「ろせん」は載っていませんでした。「俗語」ではなく「(落語)業界語」ということでしょうかね。