新・ことば事情
4928「耶蘇」
呉智英の『吉本隆明という「共同幻想」』という本を読んでいたら、吉本隆明は、「イエス」をなぜかフランス語読みで
「ジェジュ」
と、また「マタイ伝」を、
「マチウ書」
としている。その理由は、
「フランス語の聖書を読んだから」
と書いてありました。なんじゃ、そりゃ・・・。それを読んでハッ!と思い浮かんだのが、
「耶蘇」
という漢字で書かれている、いかめしい言葉。
「ヤソ」
と読むのですが、これって「耳から入った外国語」もしくは、それが「中国語化」されたものではないか?と思いつきました。つまり、「イエス」と「ヤソ」は同じ音の聞こえ方の違い!「ヘボン」と「ヘップバーン」みたいなものなんですね!漢字で書かれているから全然イメージが湧かなかったけど、「耶蘇=イエス」ならわかりやすい。
『精選版日本国語大辞典』で「耶蘇」を引くと、やはり想像通り、
(一)(ラテン・ポルトガルJesusの近代中国音訳語『耶蘇』を音読みしたもの)イエス・キリストの通称。日本では昭和初期の頃まで用いられた。
(二)(一)から転じて、キリスト教。また、キリスト教の信者。
とありました。イエース!という気持ちになりました。アーメン。