新・読書日記 2012_235
『その未来はどうなの?』(橋本治、集英社新書:2012、8、22)
橋本治さん、病気されてたんだ。2010年秋に4か月ほど「めんどうくさい病気」「免疫系の病気」「完治のない病気」で入院されていたとか。詳しい病名は書かれていないですが。そんな中で綴られたもの。執筆の動機は、「今の世の中というか社会というか世界というか、そういうもののあり方がよくわからなくなったから」だそうです。それは確かに、みんなそうだとおもう、ごく一部の人を除いて。
ここに挙げられたのは「テレビの未来」「ドラマの未来」「出版の未来」「シャッター商店街と結婚の未来」「男の未来と女の未来」「歴史の未来」「TPP後の未来」「経済の未来」「民主主義の未来」と、どれも興味深いものばかり。特に著者の身近なテーマが取り上げられているんだと思う。これらを総合すると、「自分の未来」「家族の未来」ということになるのではないか?この中で、私が特に興味を持っているのは(どれも持っているけど)「民主主義の未来」。どうも、従来の「民主主義」というものの「賞味期限」が切れて来たのではないか?もしくは「理想の民主主義」とは"違う方向"にぶれて来ているのではないか?という気が、ここ数年しているので、興味がありました。そういった"疑問の提示"という意味では興味深いのですが、"処方箋"をきっちりと示すところまでは行っていない気がして、残念でした。(方向性だけか。)「それを自分たちで考えるのが"民主主義"だよ」ということなのかもしれませんが・・・。
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